プロットを「5つの質問」で描き出す|物語地図の作り方
プロットの重要性はわかった。でも、白紙のエディタを開いた瞬間、何を書けばいいかわからない——。
そんなあなたに提案するのが、5つの質問に答えるだけでプロットの骨格が完成する方法です。
プロットを「物語地図」にたとえて考えます。あなたがこれから書く物語は、読者を未知の土地に連れていく冒険。その冒険のために、まず地図を描きましょう。
質問①:どんな世界の地図ですか?
→ 時代・世界設定を定義する
あなたの物語の舞台はどこで、いつの話ですか?
• 中世ヨーロッパ風のファンタジー世界
• 現代日本の高校
• 2200年の宇宙ステーション
「世界の地図」とは、読者がその世界に入るための前提条件です。ファンタジーなら魔法があるのかないのか、転生があるのかないのか。現代ものなら特殊な設定(超能力、異能力)があるのかないのか。
ここで決めること:
• 舞台の時代・場所
• その世界のルール(魔法体系、技術レベル、社会構造)
• 物語の「空気感」(シリアス、コメディ、ダーク)
質問②:何処へ向かうための地図?
→ 物語の目的地(結末の方向性)を決める
地図には目的地が必要です。読者をどこに連れていきたいですか?
• 主人公が魔王を倒して平和を取り戻す
• 片思いの相手と両思いになる
• 事件の真相を解き明かす
この時点で結末の細部まで決める必要はありません。「だいたいあっちの方向に向かう」という方角が定まればOKです。
帰納法でプロットを作るなら結末を先に固めますし、演繹法なら「方向性だけ」でも構いません。
質問③:誰に読みやすい地図ですか?
→ ターゲット読者を定義する
同じ冒険でも、初心者向けのハイキングマップとベテラン向けの登山地図では作り方が違います。
• ライトノベル読者(10代後半〜20代、テンポ重視)
• 文芸読者(30代〜、文章の味わい重視)
• なろう系読者(異世界転生、無双、テンプレ展開を好む)
この質問に答えると、自然と文体、展開のテンポ、説明の量が定まります。
たとえばなろう系読者に向けた地図なら、「1話目で転生、3話目で無双」というテンポ感が暗黙の約束。文芸読者に向けた地図なら、「最初の50ページは日常描写」も許容される。
質問④:この地図のオリジナリティは?
→ あなたの物語でしか行けない場所を見つける
ここが最も重要な質問です。
異世界転生×無双ものは無数にある。恋愛×学園ものも無数にある。その中で、あなたの物語にしかない「オリジナリティ」は何ですか?
• 魔法が数学の数式で表現される世界
• 主人公がスライム(人間ではない)
• 探偵が犯人で、読者だけがそれを知っている
オリジナリティは「設定」だけとは限りません。「構成」や「テーマ」の切り口も立派なオリジナリティです。
もし「オリジナリティが見つからない」と感じたら、質問①〜③の答えを組み合わせてみてください。「中世ファンタジー × プログラマーが転生 × 40代向け」——この組み合わせ自体がオリジナリティになることがあります。
質問⑤:総じて、この地図の売り文句とは?
→ 一言キャッチコピーを作る
最後に、①〜④の答えを凝縮して、一言で物語を紹介できるフレーズを作ります。
• 「最弱のスライムが世界最強になる逆転ファンタジー」
• 「死に戻りを繰り返す少年の、命がけの恋と冒険」
• 「魔法が数式で紡がれる世界で、落ちこぼれ数学者が世界を救う」
この売り文句が物語全体のログラインになります。書いているうちに迷子になったら、この一言に立ち戻ってください。「今書いているシーンは、この売り文句から逸れていないか?」と自問するだけで、軌道修正ができます。
5つの回答の整合性チェック
①〜⑤に答え終わったら、回答同士の整合性を確認します。
• ①の世界設定は、④のオリジナリティと矛盾していないか?
• ②の目的地は、③のターゲット読者が期待する方向と合っているか?
• ⑤の売り文句は、①〜④の要素を正しく反映しているか?
矛盾が見つかったら、どれかを修正します。この整合性チェック自体が、プロットの精度を上げる作業です。
たとえば、①「中世ファンタジー」で⑤「プログラマーが転生して魔法をコーディングする」という売り文句を作ったとします。このとき、③が「なろう系読者」なら整合しますが、「文芸読者」なら「コーディング」の設定がライトすぎるかもしれません。このように、5つの回答を並べて比較するだけで、「ここがズレている」が自然と見えてきます。
AIで5つの質問ワークを加速する
ChatGPTやClaudeに「壁打ち相手」になってもらう方法が有効です。
プロンプト例:
> 以下の5つの質問に答えました。整合性をチェックし、改善点を指摘してください。また、④のオリジナリティを強化するアイデアを3つ提案してください。
>
> ①世界設定:〇〇
> ②目的地:〇〇
> ③ターゲット:〇〇
> ④オリジナリティ:〇〇
> ⑤売り文句:〇〇
AIは「見落としている矛盾」を指摘するのが得意です。また、④のオリジナリティについては「3ジャンル分の記入例」をAIに出させることで、発想の幅が広がります。
実際の使い方としては、まず自分で①〜⑤に答えた上で、AIに「この5つの回答に矛盾はありませんか?」と聞くのが効果的です。自分では「整合している」と思っていても、第三者の視点で見ると穴が見つかることがあります。「②の結末が『魔王討伐』なのに、④のオリジナリティが『日常コメディ』寄りです」といった指摘は、人間が自分ではなかなか気づけないものです。
5問ワークシート(テンプレート)
コピーして使ってください。「とりあえず埋める」で十分です——完璧を目指さず、「ぜんぶ埋まる」ことを優先してください。空欄があると「そこがまだ固まっていない」とわかりますが、それ自体が発見です。「④のオリジナリティが埋まらない」なら、そこが今最も考えるべきポイントです。
【物語地図ワークシート】
①世界設定(いつ・どこ・ルール):
②目的地(結末の方向性):
③ターゲット読者:
④オリジナリティ(この物語でしか行けない場所):
⑤売り文句(一言キャッチコピー):
【整合性チェック】
□ ①と④は矛盾していないか
□ ②と③の期待値は合っているか
□ ⑤は①〜④を正しく反映しているか
次に読むべき記事
• 5つの質問の「前提」を理解する → プロットとは何か
• 設定と展開の取捨選択に迷ったら → 設定と展開を選ぶ3つの基準
• コンセプトからさらに本格的に設計する → コンセプトセンテンスから始めるプロット設計
• 売り文句(ログライン)を磨く → イメージラフ・ログライン・ナラティブ






