小説の「テーマ」とは何か|なぜ必要で、どう決めるのか
小説を書くとき、「テーマ」を決めていますか?
「テーマ」は「主題」とも「核」とも呼ばれます。なんだか難しそうに聞こえますが、要するに「この物語で読者に伝えたいこと」、それがテーマです。
この記事では、テーマの定義・テーマが必要な理由・テーマの決め方を解説します。これは「テーマ」というものを概念として理解するための入門記事です。テーマをさらに具体的な一文に落とし込む「プレミス」の技法は別記事で詳しく扱います。
「テーマ」とは ――物語の取捨選択の判断基準
小説を書くとき、こんなプロセスを踏みませんか?
「今回はこんな話にしようかな」という淡いイメージからスタートして、「この場面は残そう」「この順番でイベントを起こそう」と要素の取捨選択を繰り返しながら、結末までの物語を組み立てていく。
その取捨選択のとき、判断基準になるものがテーマです。
わかりやすい例え話をしましょう。ディズニーランドの「テーマ」は何でしょうか?――「ディズニー映画の世界観を体験させること」ですよね。だからアトラクション、食事、キャストの衣装、BGM、すべてがその世界観に沿って設計されています。もし「節約」がテーマだったら、まったく違う場所になるでしょう。
小説も同じです。テーマがあれば、登場させるべきエピソードとそうでないものが判別でき、物語に一貫性が生まれます。
テーマが必要な理由 ――「深み」を生む装置
テーマがなくても小説は書けます。要素を並べるだけで物語は成立します。
でも、読了後に「これが伝えたかったんだな」と心に残る作品は、必ずテーマを持っています。テーマがない物語は「伝わらない小説」で終わってしまいます。
さらに、テーマには物語に「深み」を与える機能があります。
たとえば「努力は報われる」がテーマの物語。「トップ俳優を目指す女性が辛い下積みを乗り越え、主演映画の監督と結婚する」――そのままではシンデレラストーリーです。でもそこに「トップ俳優になった今でも一般人に溶け込んで生活し、演技の勉強を続けている」というエピソードを加えたらどうでしょう。テーマの「努力」が多角的に描かれ、物語に厚みが出ます。
このように、テーマをいろんな角度から表現した小さなエピソードをちりばめることで、物語は「濃く」なっていきます。
ヒット作に見るテーマの力(2024-2025年)
テーマの重要性は、近年のヒット作を見るとよくわかります。
• 『葬送のフリーレン』 ――テーマは「時間と向き合うこと」。千年を生きるエルフが人間の短い命の意味を知っていく。すべてのエピソードがこのテーマに貫かれている
• 『推しの子』 ――テーマは「嘘と真実」。芸能界のきらびやかさの裏側を描きながら、「本当の自分」を探す物語
• 『薬屋のひとりごと』 ――テーマは「知識と好奇心の力」。薬学という専門知識が人を救い、世界を動かしていく
どの作品も、テーマがストーリーの柱になっています。テーマが明確だからこそ、読者は物語に没入でき、読後に「いい作品だった」と感じるのです。
テーマの決め方 3つのアプローチ
アプローチ1: 「好きなこと」から見つける
最もおすすめの方法です。なぜなら、長編を書くには数ヶ月〜数年かかります。その間「このテーマ、もう飽きた」となったら致命的。自分が好きなことなら最後まで走り切れます。
「好きなこと」がわからない? では、お気に入りの小説や漫画を手に取った瞬間、どんな言葉が浮かびますか?「爽快感」「非日常」「色鮮やかな町」「海が好き」――何でもいいのです。「オンラインゲーム最高!」と思ったなら、それはもう「オンラインゲームの世界」がテーマの候補です。
アプローチ2: 疑問形にしてみる
「○○とは何か?」「もし○○だったら?」と疑問形にすると、テーマが見えやすくなります。
• 「正義とは何か?」→ 正義の定義が揺らぐ物語へ
• 「もし死者と話せたら?」→ 生と死をテーマにした物語へ
• 「なぜ人は嘘をつくのか?」→ 嘘と真実をテーマにした物語へ
疑問形にすると、物語の方向性が自然に定まります。答えを探す旅が、そのまま物語になるからです。
アプローチ3: 書きながら「後から」見つける
テーマが決まらずにスタートしても、書いているうちに「あ、自分はこれが書きたかったんだ」と気付くことがあります。これは全然ありです。
特にボトムアップ型(書きながら発見するスタイル)の書き手は、テーマが後から浮かび上がることが多い。あまり悩みすぎず、直感を信じて書き始めるのも一つの手です。
まとめ ――テーマは物語のコンパス
テーマとは、物語のコンパスです。
• テーマ = 読者に伝えたいこと = 要素の取捨選択の判断基準
• テーマがあれば物語に一貫性と深みが生まれる
• 「好きなこと」「疑問形」「書きながら発見」の3つのアプローチで見つけられる
テーマが見つかったら、次はそれを一文に凝縮する「プレミス」の技術を学んでみてください。たった一行で物語の核を定めるだけで、ストーリーが驚くほどスムーズに動き出します。
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