日本神話の世界観設定ガイド|ファンタジー創作に活かせる神話構造と神々

2025年4月23日

日本神話は、ファンタジー世界の設定を考える際に非常に優れた素材です。天地創造から国造り、アマテラスとスサノオの対立などの神々の対立と和解まで、物語に必要な要素がすべて詰まっています。

しかし、『古事記』や『日本書紀』をそのまま読むのは敷居が高い——そう感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、ファンタジー創作に活かすことを目的として、日本神話の構造・主要な神々・使える設定要素を整理して解説します。

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日本神話の構造を俯瞰する

日本神話は大きく3つの段階に分かれています。この構造を把握しておくだけで、日本神話をベースにしたファンタジー世界の骨格を作ることができます。

段階内容主要な神々ファンタジー的要素
天地開闢世界の始まり。混沌から天と地が分かれ、最初の神々が生まれるアメノミナカヌシ、イザナギ、イザナミ創世神話・世界の起源設定
神々の時代神々の冒険と対立。黄泉の国、天岩戸、八岐大蛇退治などアマテラス、スサノオ、ツクヨミ属性魔法・兄弟対立・怪物退治
国造りと天孫降臨地上世界の統治権をめぐる物語。国譲り、天孫降臨オオクニヌシ、ニニギ王権神授・異種族間の政治

この3段階は、そのままファンタジー世界の「古代史」として流用できる構造を持っています。

創作に使える日本神話の神々

日本神話には多数の神が登場しますが、ファンタジー創作で特に参考になる神々を厳選して紹介します。

イザナギとイザナミ — 創造と死の起源

イザナギ(男神)とイザナミ(女神)は、天の浮橋に立って矛で海をかき回し、最初の島「淤能碁呂島(おのごろじま)」を作りました。この「混沌から秩序を生む」という行為は、ファンタジー世界の創世神話の原型として活用できます。

特に注目すべきは、イザナミの死とイザナギの黄泉探訪のエピソードです。愛する者を取り戻すために死者の国へ向かうが、「見てはいけない」という禁忌を破って失敗する——この構造は、ギリシャ神話のオルフェウスとも共通する普遍的テーマです。

ファンタジー的に活かすなら、「死者を蘇らせようとする者は、必ず代償を払う」という世界のルールとして設定に組み込めるでしょう。

三貴子 — 太陽・月・嵐の三属性

黄泉から戻ったイザナギが禊をした際に生まれた三柱の神は、ファンタジー世界の属性設定の参考になります。

神名司るもの性格ファンタジー的応用
アマテラス太陽・光秩序を重んじる統治者光属性の最高神、神権の源泉
ツクヨミ月・夜謎が多い(記述が極端に少ない)闇属性・秘密の守護者
スサノオ嵐・海荒々しいが勇敢戦士神・反逆と英雄の二面性

興味深いのは、ツクヨミの描写が極端に少ないことです。太陽と嵐は多数のエピソードを持つのに対し、月の神はほぼ語られません。この「語られない神」という存在は、ファンタジー世界の設定において「忘れられた神」「封印された神」というテーマに発展させることができます。

スサノオの八岐大蛇退治 — 怪物退治の原型

高天原を追放されたスサノオが出雲の国で八つの頭と八つの尾を持つ大蛇「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」を退治する物語は、日本版の英雄譚の原型です。

この物語の設定的に面白いのは、退治の方法です。スサノオは力任せに戦うのではなく、八つの大甕に酒を用意して大蛇を酔わせ、眠ったところを斬りました。さらに、尾から天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)が出てきたという展開は、「怪物の体内に伝説の武器が眠っている」という定番設定の起源とも言えます。

オオクニヌシ — 国造りと譲渡のドラマ

オオクニヌシ(大国主神)は、地上世界(葦原中国)を統治していた神ですが、天照大神の使者が現れ、国を譲るよう求められます。最終的にオオクニヌシは国を譲り、代わりに出雲大社に祀られることになりました。

この<strong>「国譲り」</strong>のエピソードは、ファンタジー世界における「先住民族と侵略者」の関係設定に応用できます。先住の種族が平和的に統治権を譲渡する代わりに、特定の聖域や権利を保証される——こうした設定は、単純な征服物語よりも複雑で深い世界観を生み出します。

日本神話に特有の設定要素

西洋神話と比較したとき、日本神話には独自の設定要素がいくつかあります。これらを意識的に取り入れると、「和風テイスト」のファンタジー世界観に説得力が出ます。

穢れと禊の概念

日本神話では、死や罪に触れると「穢れ」が付着し、それを祓うために「禊(みそぎ)」を行います。イザナギが黄泉から帰還後に禊をしたのがその代表例です。

この概念をファンタジー設定に取り入れると、「闇の力を使うと穢れが蓄積し、定期的に浄化しなければ身体が蝕まれる」というリスク管理の仕組みを作ることができます。

言霊の力

日本には古くから「言葉に霊力が宿る」という考え方があります。祝詞(のりと)や呪文の原型とも言えるこの概念は、魔法体系の設計に直接活用できます。

西洋ファンタジーの呪文が「ラテン語風の詠唱」であるなら、和風ファンタジーの魔法は「言霊による発動」として差別化が可能です。

神器 — 三種の神器

天叢雲剣(剣)、八咫鏡(鏡)、八尺瓊勾玉(玉)の三種の神器は、日本神話を代表するアイテムです。「剣・鏡・玉」という組み合わせは、「攻撃・防御・補助」というRPG的な役割分担にも対応しやすく、ファンタジー作品の重要アイテム設定の参考になります。

日本神話ベースの世界観設定のコツ

日本神話をファンタジー創作に取り入れる際、いくつかのコツがあります。

神名はそのまま使わない:アマテラスやスサノオをそのまま登場させると「日本神話の二次創作」になりがちです。構造やテーマだけを借りて、オリジナルの名前と設定に変換しましょう

多神教の世界観を活かす:神が一柱ではなく多数存在し、それぞれが異なる領域を司る——この多神教構造は、勢力図や政治的対立の設定と相性が良いです

自然との一体感:日本神話では山・川・海がそのまま神です。自然を擬人化するのではなく「自然そのものが神格を持つ」という設定は、独特の空気感を生み出します

おすすめの入門書

日本神話をより深く知りたい方には、『知識ゼロからの日本神話入門』(エクスナレッジ)がおすすめです。古事記・日本書紀の内容が現代語で分かりやすくまとめられており、各神話のエピソードを短時間で把握できます。創作の資料としても手元に置いておくと便利でしょう。

まとめ

今回は、日本神話の構造と主要な神々を、ファンタジー創作の視点から解説しました。

日本神話は、天地創造・英雄譚・種族間の政治・禁忌と代償——ファンタジー世界に必要な設定要素をすべて内包しています。西洋ファンタジーとは異なるテイストの世界観を構築したいとき、日本神話は非常に強力な素材になるでしょう。

ぜひファンタジー作品の世界観設定の参考にしてくださいね。


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