ゴブリン・オーク・オーガ・コボルドの違い|亜人モンスター6種を徹底比較

2022年5月2日

ゴブリン、オーク、オーガ、コボルド——ファンタジー作品の定番モンスターですが、その起源と定義は時代とともに大きく変わっています。元はヨーロッパの民間伝承に登場する「悪い妖精(ゴブリン系統)」でしたが、トールキンの『指輪物語』(1954年)とD&D(1974年)が現代ファンタジーのモンスター分類を決定づけました。

この記事では、6種の亜人型モンスターの起源・外見・強さ・知能を比較し、そのルーツと現代での再解釈を整理します。

亜人モンスター6種 比較表

モンスター起源体格知能戦闘力社会性
ゴブリンイギリス民間伝承小柄(人間の半分以下)低〜中弱い(群れで補う)集団行動。洞窟に住む
ホブゴブリンイギリス民間伝承人間大中〜高ゴブリンより強い規律正しい軍隊を形成
オークトールキン創造人間大〜やや小低〜中中程度(数で圧倒)暴力的な部族社会
オーガフランス民間伝承人間の2倍以上低い高い(怪力)単独か小集団。人を食う
コボルドドイツ民間伝承非常に小柄中程度弱い(罠で補う)鉱山や地下に住む
巨人(ジャイアント)世界各地の神話巨大(数m〜数十m)種類による非常に高い神話により善悪様々

ゴブリン(Goblin)

ゴブリンの語源はフランス語の「ゴブラン(gobelin)」で、ドイツ語の「コボルト(Kobold)」とも関連があります。元々はイギリスの民間伝承で「いたずら好きな小さな精霊」程度の存在でした。

ゴブリンが「醜い小型の敵モンスター」として固定されたのはD&D(1974年)以降です。トールキンの『ホビットの冒険』(1937年)ではゴブリンとオークはほぼ同義語でしたが、現代ファンタジーではゴブリンとオークは明確に別種として扱われることが大半です。

時代ゴブリンの扱い
イギリス民間伝承いたずら好きな家の精霊。悪い妖精
トールキン(1937年)オークの別名。ゴブリン=オーク
D&D(1974年)オークより下位の小型モンスター。雑魚敵
現代なろう系序盤の敵、または味方・仲間として再解釈

『転生したらスライムだった件』でリムルがゴブリンを最初の配下にする展開は、「最弱モンスターが成長する」という現代的な再解釈の代表例です。

オーク(Orc)

オークはトールキンが『指輪物語』で創造したモンスターで、それ以前のヨーロッパ民間伝承には存在しません。トールキンの設定では、冥王モルゴスがエルフを拷問し、堕落させて作り出した存在とされます。ただし晩年のトールキンはこの設定に神学的な矛盾(悪であるモルゴスに創造能力があるのか)を感じ、オークの起源を何度も書き直しています。

トールキンのオークD&D以降のオーク
エルフの堕落した姿独立した種族。豚に似た顔
日光に弱い日光に弱い設定は残ることが多い
知能は低くはないが残忍蛮族。力は近い社会
善のオークは存在しないハーフオークなど善側もありうる

D&D以降、オークは「豚のような顔」というビジュアルが定着しましたが、トールキンのオークは豚には似ておらず、むしろ「醜いエルフ」に近い描写です。ピーター・ジャクソンの映画『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)のウルク=ハイのデザインが現在のオーク像に大きな影響を与えています。

なお、「ウルク=ハイ」はトールキンが作った「大型・強化版オーク」で、サルマンが品種改良して生み出しました。日光の下でも活動でき、通常のオークより大きく知性も高い。この「上位種」のアイデアはホブゴブリンとオークの関係にも見られるパターンです。

オーガ(Ogre)

オーガの語源はフランス語の「ogre」で、シャルル・ペロー(1628-1703)の童話集『ペロー童話集』(1697年)で初めて文学に登場しました。「長靴をはいた猫」に出てくる人食い大男がオーガの原型です。

特徴は「巨大で力が強いが知能が低い」という点で、力と知恵が反比例する典型的なパターンです。女性のオーガは「オグレス(Ogress)」と呼ばれます。

映画『シュレック』(2001年、アカデミー長編アニメーション賞受賞)は「心優しいオーガ」という逆転の設定で大ヒットし、オーガのイメージを大きく転換しました。原題の「Shrek」はイディッシュ語で「恐怖」を意味する言葉で、そのギャップがタイトルの妙になっています。

日本のファンタジーでは「鬼」がオーガに訳されることが多く、鬼ヶ島に住む金棒を持った赤鬼のイメージとヨーロッパのオーガが融合しています。『鬼滅の刃』の鬼はヴァンパイア的な要素も含みますが、日本語の「鬼」がオーガ的存在の最もポピュラーな例です。

コボルド(Kobold)

コボルドはドイツの鉱山伝承に登場する小さな精霊です。鉱山で働く鉱夫を手助けすることもありますが、怒ると鉱石を価値のない石に変えてしまうともいわれます。

伝承のコボルドD&Dのコボルド
目に見えない小さな精霊犬顔の小型爬虫類人
鉱山に住む。家事を手伝うこともある洞窟に住む。罠を仕掛ける雑魚敵
コバルト(金属元素)の語源ドラゴンを崇拝する種族

「コバルト」という元素名はコボルドに由来します。鉱夫が銀だと思って採掘した鉱石がコバルトの化合物で、精錬しても銀が取れなかった——これをコボルドのいたずらだと考えたのが語源です。

巨人(Giant)

巨人は世界中のあらゆる神話に登場する最も普遍的な存在です。

神話体系巨人の名称特徴
ギリシア神話ティターン、ギガース神々の前の支配者。ゼウスに敗北
北欧神話ヨトゥン(霜の巨人)神々と敵対。ラグナロクで神と相打ち
旧約聖書ゴリアテ、ネフィリムダビデに倒された3mの戦士
イギリス伝承ジャック倒しの巨人「ジャックと豆の木」型。人食い
日本(ダイダラボッチ)ダイダラボッチ山や湖を作った巨人。富士山を一晩で作ったとも

D&Dでは巨人を属性別に分類し(ヒルジャイアント、ストーンジャイアント、フロストジャイアント、ファイアジャイアント、クラウドジャイアント、ストームジャイアント)、そのまま強さのランクにしました。この分類は多くのファンタジーゲームに受け継がれています。

『進撃の巨人』(2009年連載開始)は巨人を「倒す対象」から「人類存亡の脅威」へと格上げし、巨人モノの常識を覆しました。壁の中で100年間平和に暮らしてきた人類が突如巨人に襲われるという構造は、巨人の恐怖を現代的に再定義した傑作です。

あなたの物語への活かし方

亜人モンスターを設計するなら、以下のポイントを考えてみてください。

• そのモンスターは「敵」固定か、味方にもなりうるか?

• 知能と戦闘力のバランスをどう設定するか?

• 既存のイメージを踏襲するか、逆転させるか?(シュレック方式)

• 群れで出るか、単独で出るか?(物語の難易度に直結する)

まとめ

ゴブリン・オーク・オーガ・コボルド・巨人はそれぞれ異なるルーツを持ち、トールキンとD&Dという二大作品を経由して現在の姿に固定されました。現代のなろう系やゲームでは固定イメージの逆転・再解釈が盛んに行われており、知っておいて損はない定番モンスターの系譜です。


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