語彙の増やし方を実践的に解説|「理解語彙」と「使用語彙」を同時に鍛える4つの方法

2021年12月25日

小説を書いていて「こういうことを伝えたいのに、ぴったりの言葉が浮かばない……」という経験はありませんか? その「語彙が足りない問題」は、語彙の仕組みを理解すれば効率よく解決できます。

この記事では、語彙の2つの種類を整理し、それぞれを鍛える具体的な方法を紹介します。

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語彙には2つの種類がある

まず、次の文を読んでみてください。

> 「物は性を有し、性は物を具す。性は物と混成して罅縫無し。」(三浦梅園『玄語』冒頭より)

……正直、意味がよくわからないですよね。私もわかりませんでした。これは「読めるけれど使えない」言葉で構成された文です。

語彙は大きく2種類に分かれます。

理解語彙——読んだり聞いたりしたとき「わかる」言葉。頭のなかに蓄積されたストックです。

使用語彙——自分が文章や会話で「実際に使える」言葉。文脈に合わせてアウトプットできるストックです。

つまり、語彙を増やしたければ、理解語彙を増やす(知っている言葉を増やす) と同時に 使用語彙を増やす(使える形でアウトプットする練習をする) の両方が必要です。

たとえば「蠢く(うごめく)」という言葉。読んだとき意味はわかる(=理解語彙)けれど、自分の小説で使ったことがない(=使用語彙ではない)——こういう語彙をひとつずつ「使える側」に移していく作業が、語彙力アップの本質です。

理解語彙を増やす2つの方法

方法1:わからなかったら即・調べる

シンプルですが、最も効果的な習慣です。本やWebで見かけた「知らない言葉」を、その場で調べてメモする。調べるだけなら5秒、メモまで入れても30秒です。

おすすめの方法は、読書中に小さな付箋やメモ用紙に言葉と意味を書いて、本に挟んでいくことです。読み終えたらそのまま栞として残しておけば、再読時に復習もできます。

電子書籍ならハイライト機能を使いましょう。Kindleでは辞書を内蔵しているので、長押しするだけで意味が表示されます。この「わからない→5秒で調べる」のサイクルを日常にするだけで、理解語彙は着実に増えていきます。

方法2:「音声コンテンツ」でインプットする

読書の時間が取れないなら、耳から言葉を入れるのも有効です。YouTubeの解説動画、ラジオ、ポッドキャストなど、何かをしながら流すだけでもインプットされます。

ポイントは、自分にとって少し難しい内容を選ぶことです。簡単な内容では新しい語彙に出会えません。ニュース解説や専門家の対談など、普段使わない言葉が飛び交うコンテンツがおすすめです。

ラジオにはもう一つメリットがあります。パーソナリティの語りそのものが「使用語彙のお手本」になるのです。彼らは聞き手に伝わるように言葉を選び、テンポよく話を展開する。そのリズム感は、小説の地の文にも応用できます。

使用語彙を増やす2つの方法

方法3:安易な言葉を一切使わない縛りプレイ

「やばい」「すごい」「まじ」「可愛い」「わかる」——これらの便利ワードを日常会話で一切使わずに過ごしてみてください。

最初は苦しいはずです。「やばい」の代わりに何と言えばいいのか、とっさに出てこない。でもそこで考える。「やばい(おいしい)」を「噛んだ瞬間に出汁がじわっと広がる」に。「すごい(速い)」を「目で追えなかった」に。

この 言い換え筋トレ を続けると、理解語彙が使用語彙に昇格していきます。

もし「やばい」と言ってしまったら、そのあとに「どのように?」「どの点について?」「どれくらい?」と自分に問いかけてみましょう。一言付け加えるだけで、表現の精度が上がります。

目指すイメージはグルメレポーターです。「おいしい!」だけで終わらず、味・食感・香り・見た目を言葉で描写する。それと同じことを、日常のあらゆる場面で練習するのです。

方法4:全ては「例え話ゲーム」だと考える

新しい言葉を覚えることだけが語彙の増やし方ではありません。今知っている言葉を組み合わせて新しい表現を作るのも、立派な語彙力です。

そこでおすすめしたいのが「例え話ゲーム」です。日常のあらゆることを比喩で言い換えてみましょう。

• 「無駄な努力は意味がない」→「いくらサッカーゲームを頑張っても、プロのサッカー選手にはなれないでしょ」

• 「かなり硬いクッキーだな」→「石みたいなクッキーだな」

• 「今日はめちゃくちゃ暑い」→「アスファルトが溶けそうな暑さだ」

• 「あの人は怒ると怖い」→「導火線に火がついた爆弾みたいな人だ」

これは一人でできるゲームです。電車の中で、散歩中に、何かを見るたびに「これを他の何かに例えるなら?」と考える。楽しみながら比喩力(=語彙の応用力)が鍛えられます。

小説の中でも、印象に残る比喩は知っている言葉同士の意外な組み合わせから生まれます。村上春樹の比喩が独特なのは、古典文学から借りてきた言葉を使っているからではなく、日常的な言葉を予想外の形で組み合わせているからです。語彙の応用力があれば、新しい言葉を知らなくても表現は豊かになります。

まとめ

語彙には「理解語彙」と「使用語彙」の2種類があります。理解語彙は「即・調べる」と「音声コンテンツのインプット」で増やし、使用語彙は「安易な言葉の封印」と「例え話ゲーム」で育てる。インプットとアウトプットを両輪で回すことで、語彙力は確実に鍛えられます。


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