事実と意見を分けて書く|文章の説得力が劇的に上がる「分離」の技術

2020年1月4日

「なんか説得力がない」「もっともらしいけど信用できない」——自分の文章にそう感じたことはありませんか? ブログでも小説の地の文でも、読者が「この書き手、信頼できるな」と思うかどうかは、実は事実と意見が分けて書かれているかどうかにかかっています。

この記事では、文章の信頼性と説得力を劇的に上げる「事実と意見の分離」の技術を解説します。

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なぜ「事実と意見の混同」が起きるのか

そもそも、なぜ多くの人が事実と意見を混ぜてしまうのでしょうか。理由はシンプルです——書いている本人が区別できていないからです。

以下の2つの文を比べてみてください。

A:この小説は2024年に出版され、初版10万部を突破した

B:この小説は2024年のベスト作品だ

Aは検証可能な事実です。Bは書き手の意見です。しかし文章の中では両者が同じ「断言」の形で並ぶため、読者はどこまでが事実でどこからが意見なのか判別しにくくなります。

混同が招く3つの問題

問題内容
信頼性の低下意見を事実のように書くと、検証されたとき信頼を失う
反論の余地がなくなる意見を事実として提示すると、読者は押しつけられた感覚を持つ
推敲しにくくなる事実と意見が混在すると、どこを修正すべきかわからなくなる

新聞やビジネス文書では「事実と意見を分ける」は基本中の基本ですが、ブログや小説の解説文になると、この意識が薄れがちです。

事実・意見・憶測——3つの層を理解する

事実と意見の2層だけでなく、もう1つ「憶測」を加えた3層で考えると、さらに文章の精度が上がります。

定義文末の目安
事実検証可能な客観的情報「芥川賞は年2回選考される」〜です。〜されています。
意見書き手の主観的判断「今期の受賞作はテーマが独創的です」〜と考えます。〜と感じます。
憶測根拠はあるが断定できない推測「次回は歴史小説が選ばれるかもしれません」〜かもしれません。〜でしょう。

この3つを意識するだけで、文章の解像度は劇的に変わります。

小説の地の文でも同じ原則が使える

「事実と意見の分離なんて、ブログや論説文だけの話では?」と思うかもしれません。しかし小説の地の文——特に三人称の語り——では、この分離がプロとアマの差を生みます。

❌ 彼は間違いなく犯人だった。(語り手が断定=読者に推測の余地がない)

⭕ 状況証拠はすべて彼を指していた。しかし、何かが引っかかる。(事実と語り手の感覚が分離=読者も一緒に考えられる)

推理小説の名手、東野圭吾や宮部みゆきは、事実の提示と登場人物の推測を意図的に分けて書くことで、読者の思考を誘導しています。この技法は推理に限らず、あらゆるジャンルの小説で使えます。

実践——事実と意見を分離する3ステップ

ステップ①:初稿をそのまま書く

まず「事実と意見を分けなきゃ」と考えずに、思うまま書き切ってください。分離は推敲の仕事です。初稿の段階でフィルターをかけると、筆が止まってしまいます。

ステップ②:蛍光ペンテスト

初稿が書けたら、以下のルールで色分けします(実際に色を塗らなくても、頭の中で分類するだけでも効果があります)。

黄色:検証可能な事実(数字、日付、固有名詞、引用)

青色:自分の意見・解釈

赤色:憶測・推測

色分けした結果、同じ一文の中に2色以上が混在していたら、それが分離すべきポイントです。

ビフォー(混在):
> この手法は多くのプロ作家が使っており、初心者にも効果的だと思います。

アフター(分離):
> この手法は村上春樹や東野圭吾の作品にも見られます(事実)。初心者でも再現しやすい技法だと感じます(意見)。

たったこれだけで、読者は「どこが事実で、どこが書き手の見解か」を正確に受け取れるようになります。

ステップ③:文末表現でマーキングする

事実・意見・憶測は、文末表現で自然に区別できます。

使える文末表現
事実〜です。/ 〜されています。/ 〜でした。
意見〜と考えます。/ 〜と感じます。/ 〜ではないでしょうか。
憶測〜かもしれません。/ 〜でしょう。/ 〜の可能性があります。

この文末パターンを意識的に使い分けるだけで、文章の信頼性は格段に向上します。ブログ記事でも小説の解説文でも、このルールを守るだけで「なんか説得力ある」と感じてもらえるようになります。

よくある混同パターンと修正例

パターン①:主語の不在による混同

> ラノベ市場は拡大している。面白い作品が増えたからだ。

前半は事実(データで検証可能)ですが、後半は意見です。しかし主語がないため、後半も事実に見えてしまいます。

> ラノベ市場は拡大しています。その要因のひとつは、面白い作品が増えたことだと考えます。

「考えます」を足すだけで、後半が意見であることが明確になります。

パターン②:印象を事実として書く

> この作家は天才だ。

これは意見です。しかし「〜だ」と断定しているため事実に見えます。

> この作家のデビュー作は初版50万部を超えました。個人的には、天才だと感じています。

事実と意見を分離すると、読者は「50万部はすごい」と自分で判断でき、書き手の「天才」という評価にも納得しやすくなります。

パターン③:憶測を事実のように書く

> 次のトレンドは「AIキャラ×人間の恋愛もの」になる。

これは憶測です。しかし断定の文末が事実のように見せてしまいます。

> 2025年にAIキャラが登場するラノベが前年比3倍に増えました(事実)。次のトレンドは「AIキャラ×人間の恋愛もの」になるかもしれません(憶測)。

あなたの文章で今日から試すなら

• 直近の自作ブログ記事を1つ選び、蛍光ペンテストをやってみる

• 「〜だ」「〜である」で断言している箇所が本当に事実かを確認する

• 意見には「〜と考えます」「〜と感じます」を足してみる

5分あれば1記事分チェックできます。この習慣を続けるだけで、あなたの文章は「なんか信頼できる」と読者に思ってもらえるようになるはずです。

まとめ

文章の説得力は「何を書くか」だけでなく、事実と意見と憶測が正しく分離されているかで決まります。蛍光ペンテストで初稿を分類し、文末表現でマーキングする——たったこれだけで、ブログでも小説でも読者の信頼を得られる文章に変わります。事実は事実として、意見は意見として、憶測は憶測として。正直に分けて書くことが、結局はもっとも強い説得力を生むのです。


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