創作ネタ | 人生は冒険や。不幸なおっさんになったらアカン | 早咲きクリエイターの罠
衝撃的なニュースを見てしまいました。YouTuberの少年革命家ゆたぼんが「小学生の時におれより稼いでた?」とアンチを挑発したそうです。
私はこのニュースを見て、ゆたぼんがおっさんになってしまった……? と心配しました。このエントリーでは全てのクリエイターが陥るかもしれない「おっさん化」について書きます。
ゆたぼんとは
少年革命家ゆたぼんは、YouTubeで「不登校は不幸じゃない」「人生は冒険や」と発信されていた元小学生YouTuberです。
10歳の頃に「不登校の自由」を主張してYouTuberとなりました。誰もが当たり前のように通っていた小学校を「行かなくてもいい」と主張するセンセーショナルな言動に多くの人が注目し、賛否両論を巻き起こしました。
2021年3月24日に小学校を卒業し、卒業証書を受領します。校長先生から「髪の毛染めてたら卒業式には出れません」と告げられて黒髪に染めるかを問われたところ、ゆたぼんはこれを拒否し、校長室で卒業式をしたそうです。その後、YouTubeで卒業証書を破り捨てる動画を発信し、これも賛否両論を巻き起こしました。
現在は小学校に続き、中学校も通わないことを宣言し、YouTubeで動画発信を続けています。
「小学生の時にこんなに稼げたりしてなかったやろ」と言い出してしまった
この元小学生YouTuberゆたぼんですが、2021年9月22日に配信した動画の中で、過去の企業案件の実績を例にあげながらこう主張していました。
「企業案件で1時間で30万円稼いだ。またアンチが嫉妬してくるんやろな。実際こんな感じでアンチよりおれの方が稼いでるねんな。だってアンチコメントしている奴とか小学生の時にこんなに稼げたりしてなかったやろ」
おっさんになってしまった。
過去の成功体験に執着して、誇るのはおっさんなのです。おっさんの定義は以下のように言われています。
1. 古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
2. 過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
3. 階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る
4. よそ者や異質なものに不寛容で、排他的
ゆたぼんは島田紳助の再来と言われるほどの喋りの達人です。そんなゆたぼん選手でも過去の成功体験を語りだして、おっさん化してしまう。小説みたいなことって本当に起きるんですね。「時給30万円稼ぐオレ、おっさんに生まれ変わってスローライフ」……。
人はなぜおっさんになるのか
早咲きの人ほど、おっさんになってしまいます。
早咲きとは、同じ年齢の人よりも飛び抜けてデキる人たちのことですから、同世代と比べて成功体験がたくさんあります。ゆたぼん選手の場合、小学生で30万円稼げる人なんていませんから、大成功していますね。社会人であれば、働かなくてもお金がもらえる年休システムがありますが30万円はもらえないので羨ましいです。
過去の成功体験……特に人から羨ましがられる成功……これは人をおっさんにする魔力があります。
私たち小説家も、公募で大賞を得たとか、初版10万部発行したとか、ランキングで1位になったとか。いやそれは誇っていい素晴らしい実績ですが、だからといって小説家を目指す若者にあーだこーだそーだと小言をいうと、老害扱いされかねません。
早咲きの罠
早咲きクリエイターが陥りやすい罠をまとめると、以下の3つです。
罠1:過去の成功体験が「基準」になってしまう
一度バズった経験があると、次の作品もバズらなければ「失敗」だと感じてしまいます。客観的に見れば十分に良い結果でも、過去の自分と比較して落胆する。これが創作の手を止める最大の原因です。
罠2:「教える側」に安住してしまう
成功体験がある人は周囲から意見を求められます。それ自体は悪いことではありません。しかし「教える」ことが心地よくなりすぎると、自分自身のクリエイティブな挑戦がおろそかになります。「書く人」から「語る人」に変わってしまう。これがおっさん化の第二形態です。
罠3:新しいものを否定し始める
「最近の作品はテンプレばかりだ」「自分たちの頃の方がレベルが高かった」——こういう発言が出始めたら、おっさん化は末期です。新しい価値観を受け入れられなくなっている証拠です。なろう系を批判するベテラン作家、TikTokを馬鹿にする中年クリエイター——すべて同じ構造です。
遅咲きの利点
一方で、遅咲きのクリエイターにはメリットがあります。
遅咲きの人は、長い「書けない期間」「認められない期間」を経験しています。だからこそ、成功したときに過度に固執しません。「またダメになるかもしれない」という危機感が、常に新しい挑戦を促します。
また、遅咲きの人は多くの挫折を乗り越えているため、「失敗への耐性」が高い。早咲きの人が1回の失敗で折れるところを、遅咲きの人は「まあ、前も失敗したし」と受け流せます。
心理学でいう「拡張的知能観」——能力は努力次第で伸びるという信念——を自然に持っているのです。「自分は天才じゃないから、努力し続けるしかない」という姿勢は、長期的には最強の武器になります。
おっさん化を防ぐ方法
では、すでに成功体験を持つクリエイターが「おっさん化」を防ぐにはどうすればいいのか。
方法1:「教えたがり」を自覚する
SNSで創作論を語りすぎていないか。他人の作品に上から目線でコメントしていないか。「教える」行為は気持ちいいのです。なぜなら、教える側は常に「自分の方が知っている」というポジションにいられるから。でもそのポジションは、新しい学びを遠ざけます。
対策は単純です。教える時間の3倍、自分が書く時間を確保すること。
方法2:意図的に「初心者」になる
書いたことのないジャンルに挑戦する。使ったことのない投稿サイトに登録する。自分が「何もわからない」状態に身を置くことで、謙虚さが復活します。
ベテランが若手に勝てない理由は、技術差ではなく「恐れ知らず」の差です。初心者は怖いもの知らずだから大胆な挑戦ができる。ベテランは失敗を恐れて守りに入る。意図的に初心者のポジションに戻ることで、この差を埋められます。
方法3:プロスペクト理論を知る
行動経済学の「プロスペクト理論」によると、人は「得ること」よりも「失うこと」に2倍以上の痛みを感じます。つまり、成功体験が多い人ほど「今の地位を失う恐怖」が強くなり、新しい挑戦ができなくなるのです。
この心理を知っているだけで、「なぜ自分は守りに入ってしまうのか」が理解できます。理解できれば対処できます。「失う恐怖」は錯覚だと知ること。過去の成功は、挑戦しなくても消えませんし、新しい挑戦に失敗しても消えません。
人生を「遅咲き」に近づける考え方
もしあなたが早咲きの側にいるなら、意識的に自分を「遅咲き」に近づける考え方をしてみてください。
• 過去の作品のランキングやPVを見返さない
• 新しい作品を「処女作」のつもりで書く
• 自分より若い作家の作品を素直に読む
• 「もう知っている」と思わず、初心で学び直す
そしてもし、あなたがまだ何も成功していない「遅咲き以前」の段階にいるなら、安心してください。来るべき成功に備えて、今のうちに「おっさん化への耐性」を身につけられるのです。
最後にひとつ、「特別でありたい」ともがく人々にとって重要な山月記の話を。
高校の現国で『山月記』を必ず扱うのは、誰もが不確かなアイデンティティのなか「特別でありたい」ともがく大学受験を控えた多感な時期に、「いくら勉強ができても自己顕示欲や自尊心をコントロールできる、人としての器を育てなければ獣に身を落とす」という人生で最も大切なことを学ぶためだ——という指摘があります。
おっさん化とは、まさにこの「獣に身を落とす」ことなのかもしれません。
ゆたぼんはここからが勝負です。能力を生まれつき固定と考えて立ち止まってしまうのか、努力をして大きく羽ばたくのか。ここからが人生本番ですね。早くして社会に出た小学生として、現役小学生の憧れで居続けられるよう、頑張ってほしいです。ポテンシャル持ってますからね。
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