創作プラットフォームのAI禁止規定の現在|pixiv・なろう・カクヨム・アルファポリスの最新ルールを整理する

2025年12月5日

2023年7月25日、pixivFANBOXがAI生成コンテンツの投稿を禁止しました。

当時、この改定を見たときに感じたのは「ようやく動いたか」という安堵と、「これで十分なのか」という疑問でした。あれから時間が経ち、状況はさらに動いています。pixivだけではなく、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスといった小説投稿サイトでも、AI生成作品への対応が次々と打ち出されるようになりました。

今回は、小説を書く人間として知っておくべきAI禁止規定の現在地を整理します。各プラットフォームが何を禁じ、何を許容し、どこにグレーゾーンがあるのか。2025年末までの動きを踏まえてまとめていきます。


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この記事を書く理由

2023年のpixivFANBOX規約改定のとき、私が最初に感じたのは「ノウハウ売りを滅ぼすべき」ということでした。現場で手を動かしている創作者こそが尊重されるべきであり、責任を取らないまま「稼ぎ方」だけを売る人間に対する違和感は、今も消えていません。この話は記事の後半で改めて書きます。

ただ、AI規約の話はもはFANBOXだけの問題ではありません。AI生成作品をめぐる規約は各プラットフォームで整備が進み、実際に受賞作の書籍化が取り消される事件まで起きています。そこで、各プラットフォームの規約を横断的に整理してみることにしました。


pixivグループのAI対応

pixivグループの対応は、サービスごとに方針が分かれています。これが意外とわかりにくいので、整理しておきます。

pixivFANBOX──全面禁止

2023年7月25日の規約改定で、pixivFANBOXはAI生成コンテンツの投稿を禁止しました。

FANBOXにおけるAI生成コンテンツの定義は「制作過程のすべてもしくはその主要な部分にAIを使用して生成したコンテンツ」です。軽微な加工・修正を施したものも含まれます。違反が検知された場合は、コンテンツの非公開化・削除、さらにはクリエイターアカウントの停止・抹消という措置が取られます。

ただし、以下はAI生成コンテンツに該当しないとされています。

• 自身が制作した画像にペイントソフトの自動彩色機能を使った場合

• 自身が制作したコンテンツ内の文章をAI翻訳した場合

• AIによって生成された作品やそれにまつわる技術を「解説」するコンテンツ

最後の項目──「技術解説コンテンツ」の除外──は、個人的には引っかかる部分です。AI作品そのものは禁じながら、AI活用ノウハウの有料販売は許容する。これでは「ノウハウ売り」の温床が残るだけではないでしょうか。この矛盾は、今も解消されていないように思います。

pixivリクエスト──全面禁止

ファンがクリエイターに直接依頼する機能「pixivリクエスト」でも、AI生成作品の投稿は全面禁止されています。FANBOXと同様の方針です。対価を受け取って納品するサービスである以上、「人間が作ったもの」であることの担保が必要だという判断でしょう。

pixiv本体──禁止ではなく「すみわけ」

pixiv本体は、AI生成作品の投稿を禁止していません。2022年から段階的に「すみわけ」の仕組みを導入しています。

投稿時にAI生成かどうかを選択するフラグが追加され、閲覧者側でも「AIイラストの表示/非表示」の切り替えができるようになりました。2023年5月のガイドライン改定では、他者の画風を無断で模倣する行為や、AI生成イラストの大量投稿も規制対象とされています。

ただし、実態としてはこのすみわけはうまく機能していない部分があります。AI生成であることを意図的に隠す投稿者が少なくないためです。タグ編集を禁止し、コメント機能をオフにし、AI生成カテゴリを付けずに投稿するケースが報告されています。AI生成であることを公開すると閲覧数が下がるため、マイナス検索を避ける行為が横行しているのが現状です。

2025年に入ってからは、一般的な同人誌のような絵柄で出力する生成AIが普及し、AI生成であることがより見分けにくくなりました。BOOTHでのイラスト販売と組み合わせた大量投稿が問題化しており、pixiv運営の対応が追いつかない状況も指摘されています。


小説家になろうのAI対応

国内最大級の小説投稿サイト「小説家になろう」のAI対応は、明文化されたルールと運用実態の間に距離がある状態です。

規約上の位置づけ

小説家になろうの利用規約には、AI生成作品を明示的に禁止する条項は存在しません。ただし、2024年5月1日の規約改訂で、作品の定義が次のように定められました。

「作品とは、投稿されたテキスト等の情報のうち、ユーザが構想及び執筆し、本サイトの作品投稿機能を使用して掲載したテキストをいいます」

「ユーザが構想及び執筆し」という文言が入っているため、AIが主に生成したテキストは形式的には「作品」として認められない可能性があります。

実質的なガイドライン

2022年10月に「AIで生成された小説を投稿した場合、規約違反となるか」という問い合わせに対する運営の回答が共有されており、これが実質的なガイドラインとして機能しています。その内容は以下のとおりです。

• AI生成した文章をそのまま投稿することは禁止

• 投稿者自身による加筆修正や構成の手が入っていることが必須

• あらすじにAI使用を明記し、使用したAIツールの規約リンクを掲載すること

• 他者の著作権・利用規約を侵害しないこと

つまり、AI生成テキストの丸投げはNGだが、人間が構想し、AIを補助的に使い、加筆修正を加えた作品であれば投稿は可能──という立場です。ランキングからの除外措置も導入されていません。

「明確なAI禁止」ではなく「人間が主体であること」を求めるアプローチだと言えます。


カクヨムのAI対応

KADOKAWAとはてなが共同運営するカクヨムも、AI生成作品を禁止してはいません。ただし、2025年後半に大きな動きがありました。

大量投稿問題と注意喚起

2025年10月頃から、AI生成作品の大量投稿がカクヨムでも問題になりました。ランキングや新着欄がAI生成と思われる作品で埋まり、人間が書いた作品の露出が減少する事態が発生したのです。

これを受けてカクヨムは、2025年11月13日に「過度な頻度での作品投稿」を控えるよう利用者に呼びかけました。

3段階のAIタグ制度

さらに2025年11月19日、カクヨムは生成AIの利用形態に応じた3つの推奨タグを発表しました。

• 「AI本文利用」……本文の50%以上にAIを使用

• 「AI本文一部利用」……本文の50%未満にAIを使用

• 「AI補助利用」……アイデア出し・資料・校正など補助的に使用

一般の投稿では「推奨」にとどまりますが、カクヨムコンテスト11の応募作品については、該当する場合のタグ付けが必須とされました。カクヨムはタグがあることでコンテスト内で不利になることはないと説明しています。

ガイドライン更新

2025年4月にはガイドラインも更新されており、他人の著作権を含む権利を侵害する投稿の禁止が明確化されました。他人の作品の剽窃、語句や表現を置き換えただけのもの、世界設定やキャラクター設定が過度に共通しているものなどが禁止対象です。AI使用の有無にかかわらず適用される規定ですが、AI生成作品で既存作品に酷似した表現が出力されるリスクを意識した改定と見ることもできます。


アルファポリスのAI対応──受賞取消事件

アルファポリスでは、2025年11月に衝撃的な事件が起きました。

第18回ファンタジー小説大賞で大賞と読者賞をダブル受賞した作品が、AI生成作品であると判明し、書籍化とコミカライズの企画がすべて白紙撤回されたのです。受賞作は4万4千件以上のいいねを集めた人気作品でした。

2025年11月18日、アルファポリスは「AI生成作品を対象とした出版申請及びコンテストにおける禁止行為の追加」を発表しました。禁止対象は「作品の大部分において文章の作成を主目的として生成AIツールを利用して作られた作品」です。受賞後にAI生成と判明した場合は出版も取りやめになると明記されています。

一方で、誤字脱字チェック、プロット作成支援、文章校正といった補助的なAI利用は許容されています。

この事件が示しているのは、「面白ければAIでもよいのか」という問いに、出版業界が明確に「ノー」を突きつけたということです。読者が楽しんだ事実は変わりませんが、著作権の帰属が不明確なAI生成物は商業出版のリスクが大きすぎる。それが出版社の判断でした。


そのほかのプラットフォーム

エブリスタは、2025年時点でAI生成作品の投稿を明示的に禁止していません。本文の主要部分がAIによって生成されているかどうかが判断軸となっており、プロット作成や文体検討などの補助利用は許容される立場です。明記義務は課されていませんが、出典や利用範囲の説明が推奨されています。

FANZA同人は2025年6月にトップページからAI生成作品を除外する対応を発表し、BOOTHも7月にAI生成作品の一部を監視対象としました。イラスト・同人方面でも「すみわけ」から一歩踏み込んだ対応が進んでいます。


AI生成物の著作権──知っておくべき前提

各プラットフォームの規約を読み解く上で、法的な前提も押さえておく必要があります。

文化庁が2024年3月に公開した「AIと著作権に関する考え方について」によれば、AIだけで生成された作品には原則として著作権は発生しません。著作権が認められるためには「創作意図」と「創作的寄与」の2つが必要です。

具体的には、詳細なプロンプト指示、生成物を確認しながらの試行錯誤、生成後の編集・修正・加筆といった人間の関与があれば著作権が認められやすくなります。逆に、短いキーワードを入力しただけ、試行回数が多いだけ(指示の改善を伴わない)、複数の生成物から選んだだけでは著作権が認められにくいとされています。

これは投稿サイトの話だけでなく、書籍化・コンテスト応募においても重要なポイントです。著作権が認められない作品は、出版社が独占的利用権を確保できません。アルファポリスの受賞取消事件の背景にも、この法的リスクがあります。


小説を書く人間にとっての現在地

プラットフォームの対応を横断的に見ると、いくつかの共通した方向性が浮かび上がります。

まず、「AI生成テキストの丸投げ投稿」は、どのプラットフォームでも歓迎されていません。明示的に禁止しているところ、実質的なガイドラインで制限しているところ、すみわけを求めているところと手法は異なりますが、方向性は一致しています。

次に、「補助的なAI利用」は概ね許容されています。プロット作成、アイデア出し、校正、推敲支援といった使い方は、多くのプラットフォームで問題ないとされています。

そして、「AI利用の透明性」が求められる流れが加速しています。カクヨムのタグ制度はその典型例です。使ったかどうかを隠すのではなく、どの程度使ったかを開示する──その方向に進んでいます。

最後に、コンテストや書籍化においてはAI主体の作品は明確に排除される傾向が強まっています。星新一賞ではAI利用方法の説明が求められ、GA Web小説コンテストでは生成履歴の開示を求められる可能性があり、アルファポリスでは全面禁止です。


ノウハウ売りを滅ぼすべきである

AI規約の話から少し離れますが、これは書かせてください。

私は、「ノウハウ売り」を滅ぼすべきだと思っています。ここで言うノウハウ売りとは、ノウハウだけを売って実際の制作には関わらない人たちのことです。具体的には、結果責任を取らないコンサルタントや、FANBOXやNoteで有料コンテンツを販売してお金を億けている人間を指します。

本当に偶いのは現場で社会を動かしている人です。小説を書いている方ならわかると思いますが、作品を一本書き上げるのは尋常でない試練です。そんな創作の現場で、「稼ぎ方」だけを売って責任を取らない人間が楽して稼いでいる構造は、私自身気に入らない。

AI規約が整備されていく中で、「AI活用ノウハウ」を有料で売る人たちは確実に増えました。pixivFANBOXが「技術解説コンテンツ」を除外したのと同じ構造が、他のプラットフォームでも再生産されています。「作る人」より「教える人」のほうが稼げる構造は、創作界隈にとって健全とは言えないでしょう。

ただ、AI規約の整備が進んだことで、少なくとも「AIで量産して売る」という最も悪質なルートは塞がれつつあります。それは一歩前進です。

このブログでは引き続き、ライトノベルや創作に関する情報を無料で発信していきます。有料ノウハウに頼らなくても、調べて、考えて、手を動かせば物語は書ける。そのことを示し続けることが、このブログの存在理由です。


まとめ──規約は変わる、でも原則は変わらない

各プラットフォームのAI規約は今後も変わっていくでしょう。2025年だけを見ても、アルファポリスの受賞取消、カクヨムのタグ制度導入と、大きな動きが相次ぎました。2026年以降、さらに踏み込んだ対応が出てくることは間違いありません。

しかし、どのプラットフォームの規約にも共通している原則があります。それは「創作の主体は人間であるべき」ということです。AIは道具として使ってよい。でも、構想し、判断し、言葉を選ぶのは人間がやるべきだ──その線引きは、どの規約を読んでも一貫しています。

小説を書く人間にとって、これは脅威ではなく当たり前の話です。自分の頭で物語を考え、自分の手で文章を書く。その行為の価値が、AI時代になって改めて確認されたということでしょう。

規約を確認し、正しく理解し、堂々と自分の言葉で書く。それだけのことです。

各プラットフォームAI規約一覧(2025年末時点)

プラットフォームAI生成作品の投稿補助的AI利用明記義務コンテスト参加
pixivFANBOX禁止自動彩色・AI翻訳は可
pixivリクエスト禁止
pixiv本体可(すみわけ制度)AI生成フラグ選択
小説家になろう丸投げ禁止・加筆必須あらすじに明記推奨明確な制限なし
カクヨム禁止明記なし・運用で制限推奨タグ(3段階)タグ必須(コンテスト11)
アルファポリス禁止明記なし可(校正・PL支援)禁止(出版申請も禁止)
エブリスタ禁止明記なし推奨
BOOTH監視対象
FANZA同人トップから除外

※規約は変更される可能性があります。投稿前に必ず各サイトの最新規約をご確認ください。

さて、今日も物語を書きましょう。腰は壊しても、筆は折らない。

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