面白い小説の書き方|今日から使える3つの実践テクニック
「面白い物語を書きたい」。
面白さの正体を理論的に知ったら、次は実践です。この記事では、初心者でも今日から意識するだけで物語が面白くなる3つのテクニックを紹介します。
テクニック1: 「ドキドキハラハラ」を設計する
人が面白いと感じるメカニズムには共通点があります。それは「ドキドキハラハラする」こと。
ジャンルが違っても、ドキドキハラハラした瞬間に脳内ではドーパミン(いわゆる「幸せホルモン」)が分泌されます。恋愛小説でもバトルものでも日常ミステリーでも、この原理は変わりません。
ではどうすれば「ドキドキ」を作れるか?
ポイントは「情報の非対称性」です。
• 読者が知っていて、キャラが知らない ── 「危ない! 早く気づいて!」(サスペンス型)
• 読者もキャラも知らない ── 「この先どうなるの?」(ミステリー型)
• キャラが知っていて、読者が知らない ── 「何を隠しているの?」(信頼できない語り手型)
この3つのパターンを意識するだけで、読者を「ハラハラ」させる場面が作れるようになります。
ページターナー効果 ── 章末フックの技術
2025年、Web小説の世界では「ページターナー効果」が改めて注目されています。
章末フックとは、各話の最後に「次が気になる引き」を置く技術です。
• 新たな謎や問題を提示する
• キャラの決断の直前で終わる
• 衝撃的な一行で締める
「なろう系」のトップランカーを分析すると、ほぼ全話にこの章末フックが仕込まれています。読者が「次の話も読まなきゃ」と感じる仕組みは、偶然ではなく設計です。
テクニック2: 「不完全さと気付き」を組み込む
ミステリー小説を例に考えてみましょう。
冒頭で未解決の事件(不完全さ)が提示される。読者は「真相が知りたい」と興味を惹かれる。そしてクライマックスでトリックが回収され、「そうだったのか!」という気付きを得る。
この「不完全さ→期待→ドキドキハラハラ→気付き→満足」のサイクルが、面白さの基本構造です。ミステリーに限らず、あらゆるジャンルに応用できます。
• 恋愛小説 ── 不完全さ=両片想い(お互い気づいていない) → 気付き=告白
• バトルもの ── 不完全さ=圧倒的な強敵 → 気付き=新技の覚醒
• 日常もの ── 不完全さ=誤解やすれ違い → 気付き=本当の気持ちの理解
キャラクターの「不完全さ」が物語を動かす
「不完全さと気付き」の効果を最大化するには、キャラクター自体が不完全であることが重要です。
完璧なキャラクターには物語が生まれません。欠点がある、トラウマがある、間違った信念を持っている。その不完全さが物語を通じて変化(気付き)していくプロセスこそが、読者を惹きつけます。
キャラを描く上でのおすすめは、「自分がなりたかった、けどなれなかった人生を描くこと」。そうすることでキャラの動機や生き方が鮮明になり、作者自身の感情が乗った物語になります。
テクニック3: キャラクターに「障壁」を与える
では、不完全なスタートから気付きのゴールまで、どうやってキャラクターを走らせるか?
答えは「障壁を与える」ことです。
障壁があるから、キャラクターは簡単に目的を達成できない。その障壁を乗り越えるところに読者はドキドキハラハラし、物語が面白くなります。
2種類の障壁
• 内的障壁 ── 心の葛藤、自信のなさ、過去のトラウマ、間違った信念
• 外的障壁 ── ライバルの出現、環境の制約、時間制限、物理的な困難
優れた物語は、内的障壁と外的障壁を連動させます。
たとえば:外的障壁として最強の敵が立ちはだかる(外的)→ 主人公は過去のトラウマで力を発揮できない(内的)→ トラウマを克服して敵を倒す → 読者は外的勝利と内面的成長の両方に感動する。
障壁のエスカレーション
物語を通じて、障壁は段階的に大きくなるべきです。
序盤で最終ボスを出してしまうと、それ以降の展開が尻すぼみになります。小さな障壁→中くらいの障壁→最大の障壁、というエスカレーションが、読者の「もっと読みたい」を維持します。
RPGに例えるなら:スライム → 中ボス → 裏ボス。この段階的な難易度設計が、物語のテンポを作ります。
2025年人気作の冒頭に見る「3つのテクニック」
これらのテクニックが実際にどう使われているか、近年の人気作の冒頭で確認してみましょう。
『葬送のフリーレン』第1話
• ドキドキハラハラ: 「魔王を倒した後」という異例の始まり方で、読者の予測を外す
• 不完全さ: フリーレンは人間の感情を理解できない(キャラの不完全さ)
• 障壁: 仲間の死 ── 千年を生きるエルフにとって、人の命の短さが最大の障壁
たった1話目で3つすべてが組み込まれています。
Web小説ランキング上位作品の傾向
2025年のカクヨム・小説家になろうランキング上位を分析すると:
• 90%以上の作品が、1話目に何らかの「不完全さ」を提示
• 章末フックは上位作品ほど意図的に設計されている
• 内的障壁+外的障壁の両方を持つ主人公が、評価ポイントが高い傾向
まとめ ── 今日から意識する3つのこと
1. ドキドキハラハラを設計する ── 情報の非対称性を利用し、章末フックを仕込む
2. 不完全さと気付きを組み込む ── 謎→期待→解決のサイクルを回す
3. キャラクターに障壁を与える ── 内的・外的障壁を連動させ、段階的に大きくする
これらは才能ではなく技術です。意識するだけで、あなたの物語は確実に面白くなります。
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