創作は静かに差がつくゲームである|腰を壊した人間が比べるべき相手
こんにちは。腰ボロSEです。
昔から一貫して思っていることがあります。
創作において比べるべき相手は、他人ではありません。
比べた先に何がある
ITエンジニア時代、私は常に他人と比べていました。技術力、年収、キャリアの進み具合。同期が昇進すれば焦り、後輩が成果を出せば苛立つ。その劣等感が成長の燃料になっていた時期もあります。
そして創作を始めてからも同じことをやりました。
投稿サイトを開けば、自分より上手い書き手がいくらでもいる。ブックマーク数で負け、文章力で負け、更新頻度でも負ける。SNSを見れば、自分より若くて才能のある創作者が次々と目に入る。
「おいおい、すごいやつばかりじゃないか」
そう感じるたびに、筆が止まりました。
他人と比べている限り、自分より上はいくらでも現れます。しかも人間は衰える。体力も集中力も、年齢とともに落ちていく。特に腰を壊してからは、長時間座ることすらままならない日がある。比較の土俵に立ち続けることが、物理的にも不可能になりました。
じゃあ、どうすればいいのか。
比べるのは昨日の自分だけでいい
答えはシンプルでした。
昨日の自分より、1行でも多く書けたか。昨日の自分より、1つでもマシな表現が見つかったか。それだけを基準にする。
上を見れば化け物みたいな天才作家はいくらでもいます。下を見て安心しても、自分の物語は1ミリも進みません。
創作者としての幸福度を高めるという観点で、価値のある行為はただひとつ。昨日より前に進んでいるかどうか。これだけです。
もうひとつの問い
もうひとつ、常に自分に問い続けていることがあります。
「このままで、本当にいいのか」
忙しさに流されて書けない日が続いていないか。惰性で同じパターンの文章を繰り返していないか。成長が止まっていないか。誰かの評価を気にして、書きたいものを書けなくなっていないか。
自分の創作を一歩引いて俯瞰する癖を持つ。これができなくなった瞬間、書き手はゆっくり腐っていきます。
腰が壊れて気づいたこと
腰を壊す前の私は、劣等感を燃料にするタイプでした。負けたくないから頑張る。追いつきたいから書く。
しかし腰が壊れると、その燃料が使えなくなります。体力的に他人と同じペースでは走れない。長時間の執筆もできない。比較の土俵から強制的に降ろされた。
最初は絶望しました。しかし不思議なことに、比較をやめた瞬間、別のものが見えてきた。
「昨日の自分より良くなっているか」と「本当にこのままでいいのか」。この2つだけを意識し始めたら、他人が気にならなくなりました。
SNSを見る時間は減る。上手い書き手を見ても、劣等感はほとんど湧かない。湧くのは問いだけです。「この人の構成、自分の物語で応用できないか」「今日はどこで自己ベストを更新するか」。
感情で落ち込む暇があったら、次の1行を考える。
口だけでは物語は進まない
とはいえ、創作は残酷です。
「いつか長編を書きたい」と語る人は山ほどいます。「今のWeb小説界は」と業界を語る人も山ほどいます。しかし実際に物語を前に進めるのは、手を動かし続けた人間だけです。推敲を続けた人間だけ。そして完結させた人間だけ。
口だけでは、1行も増えない。口だけでは、何も変わらない。
書くことだけが物語を進める。書くことだけが自分の成長を加速させる。
書き続けると、不思議なことが起きる
このスタンスで書き続けていると、不思議なことが起きます。
幸福度が自然と高くなるのです。
なぜか。昨日より書けることが増え、表現の選択肢が増え、自分の物語をコントロールできている感覚が積み上がるからです。
人は「人生をコントロールしている実感」があるときに幸福を感じるそうです。腰が壊れて身体のコントロールを失った私が、書くことで精神のコントロールを取り戻せたのは、まさにこれだったのだと思います。
逆に言えば、幸福感がないときは、だいたい何かに振り回されています。PV数、ブックマーク数、他人の評価。自分ではコントロールできないものに一喜一憂しているとき、人は不幸になる。
一発逆転なんてない
創作は一発逆転のゲームではありません。
自己ベストを更新し続けることでできています。小さく書き続けた人間だけが、気づいたときにとんでもない場所に立っている。
環境のせいにしない。才能のせいにもしない。腰が壊れていることすら、言い訳にしない。
問い続け、書き続け、直し続ける。それだけで物語は確実に前に進みます。
今日も自己ベストを更新しましょう。昨日より1行でも多く、昨日より1つでもマシな文章を。それだけでいい。それだけで、半年後の自分は今の自分に驚くはずです。
さて、今日も物語を書きましょう。腰は壊しても、筆は折らない。
腰ボロ作家
ディスカッション
コメント一覧
着眼点の素晴らしさに感服しました。
ツールの購入はハードル高いですからね。
コメントありがとうございます!
おっしゃる通りで、スマホという便利なものがあるので、最大限活用したいなと思いますね。