小説家の収益化戦略|印税だけに頼らない7つの稼ぎ方

2025年4月29日

小説家の主な収入源が印税であることは、別記事で解説しました。しかし、印税だけで生活できる作家は全体のごく一部です。大半の作家は、印税だけでは家賃すら危うい。

年収と印税の仕組み

では、小説家はどうやって収入を安定させればいいのか。答えは「収入源を分散すること」です。会社員が副業を持つように、作家も複数の収益ルートを持つ時代です。本記事では、印税以外の収益化ルートを7つ紹介し、あなたの創作キャリアに組み込むための戦略を考えます。

創作ノウハウ200超|小説の書き方ガイド

収益ルート1:メディアミックス

小説の収益を桁違いに変えるのが、メディアミックスです。これは「当たれば最強」の収益ルートです。

コミカライズ(漫画化)は鉄板の収益拡大手段です。小説のままでは届かない層に、ビジュアルの力でリーチできる。広告展開でも視覚的な訴求力があるため、コミカライズ版がヒットすると原作小説の売上も跳ね上がります。

さらにアニメ化、実写映画化、ゲーム化と展開が広がれば、グッズ収入やライセンス料も加わります。カードゲーム、フィギュア、画集、音楽CD——作品が生み出す二次的な商品は多岐にわたります。

ただし、メディアミックスは基本的に「選ばれる側」です。作家から能動的にコントロールできる領域ではありません。できるのは「メディアミックスしたくなる作品を書くこと」と「選ばれやすいポジションにいること」。後者については、投稿サイトでのランキング上位維持、SNSでの発信力、シリーズの継続がカギになります。

収益ルート2:KDP(セルフ出版)

出版社を通さず、自分でKindle電子書籍として出版する方法です。印税率は最大70%と、従来の商業出版(8〜10%)と比べて圧倒的に高い。この差はインパクトがあります。

KDPの強みは「自分のペースで出せること」です。出版社の企画会議を通す必要がなく、書き上がったら即出版できる。短編集やエッセイ集など、従来の出版では企画が通りにくいジャンルでも勝負できます。

一方、編集者によるクオリティチェックがない分、品質管理は全て自分の責任です。表紙デザインも自身で手配する必要がある。スキマやココナラでイラストを依頼する方法もありますが、その費用も含めて「投資」として計算する必要があります。詳しい出版手順は別記事にまとめています。

KDP完全ガイド

収益ルート3:ファンコミュニティ(支援型収入)

pixivFANBOX、Fantia、CAMPFIRE——クリエイターがファンから直接支援を受ける仕組みが充実しています。

月額支援型のモデルでは、ファンが月500円〜1,000円などの定額を支払い、作家は限定コンテンツ(未公開の短編、設定資料集、執筆裏話、次回作の先行公開など)を提供します。100人のファンが月500円を支援してくれれば、それだけで月5万円。地味に見えますが、安定した月額収入 という点で印税よりも計算が立ちます。

ポイントは「作品のファン」ではなく「作家のファン」を育てること。作品は完結すれば終わりですが、作家のファンは次の作品にもついてきます。ファンコミュニティは、この「作家ブランド」を可視化する場です。

具体的にどんなコンテンツを提供すればいいのか。私の経験では、「次回作の構想メモ」「キャラクターの没設定」「執筆中の悩みや気づき」といった「創作の过程」を見せるコンテンツが喜ばれます。完成品だけが価値ではない。作る過程もコンテンツになるのです。

収益ルート4:講演・イベント・教育

サイン会、講演会、朗読会、ワークショップ、トークイベント。作家としての知名度が上がれば、これらのイベント出演料も収入源になります。

さらに、専門学校や大学の講師、オンライン講座の運営なども選択肢です。小説の書き方を教えること自体がコンテンツになる。これは「書くスキル」と「教えるスキル」が両方必要ですが、兼業作家であれば本業のプレゼンテーション経験や研修講師の経験が直接活きます。教えることで自分の技術が整理される副次効果もあります。

収益ルート5:商業ライター(プロライター)

自分の小説ではなく、依頼された文章を書いて報酬を得る道です。

Web記事、広告コピー、企業のブランドコンテンツ、ゲームシナリオ——文章で報酬を得る手段は実はたくさんあります。メリットは「文章力を鍛えながら収入を得られること」。様々なテーマに取り組むことで引き出しが増え、自分の小説にもフィードバックされます。

デメリットは、クライアントの要望に沿って書くため、「魂を売る」瞬間がないとは言えないこと。しかし「文章を書くこと自体で生活したい」人には、最も現実的な選択肢の一つです。

ペンネームを分ければ、商業ライターとしての活動が小説家としてのブランドに影響することもありません。実際、プロライター経験で培った「締め切りを守る力」「読者のニーズを汲む力」は、自分の小説を書くときにも確実に活きます。

収益ルート6:SNS・ブログからの広告収入

作家としてのブログやYouTubeチャンネルを運営し、広告収入を得る方法です。Googleアドセンス、アフィリエイト(Amazon等)がメインの収益源になります。

ただし、これは「発信力」が前提です。SNSやブログで人を集められなければ、収益は雀の涙。そして発信力を上げるためにコンテンツを作り続ける労力は、小説を書く時間を圧迫します。

戦略としては、自分の専門領域(創作ノウハウ、ジャンル分析、小説レビューなど)に特化した発信を行い、作家としてのブランディングと広告収入の両方を狙うのが効率的です。

ただし注意点があります。発信力があっても作品が読まれないという悲痛な声は、SNS上で珍しくありません。発信力はあくまで「作品の魅力を届ける手段」であって、発信力自体が作品の価値を創り出すわけではない。土台はあくまで「良い作品を書くこと」です。

ただし注意点があります。発信力があっても作品が読まれないという悲痛な声は、SNS上で珍しくありません。発信力はあくまで「作品の魅力を届ける手段」であって、発信力自体が作品の価値を創り出すわけではない。土台はあくまで「良い作品を書くこと」です。

収益ルート7:自費出版による「戦略的投資」

ここで、少し変わった視点を紹介します。

「1億円受け取るか、書籍化か」——SNSの小説家クラスタでこんな思考実験が話題になったことがあります。

1億円を選んだ場合、そのお金で自費出版してベストセラーを作る戦略が成り立ちます。大手出版社に交渉して5,000部を刷り、売れ残れば全部自分で買い取る。500万円使って買い占めれば月間ベストセラーになり、話題性が生まれ、一般の読者も手に取るようになる。

ここまで極端でなくても、1,000万円あれば1万部のヒット作と100万円の印税がゲットできる という計算になります。つまり「重版がかかったヒット作品を持つ商業作家」というブランドを、現実的な投資額で手に入れられる可能性がある。

もちろん邪道です。しかし、ビジネスパーソンが出版する本の中には、実際にこの方法に近い戦略で刊行されているものがあるのでは……と邪推してしまいます。出版も、見方を変えれば「投資」なのです。

ただし、この方法には重大な前提条件があります。本の内容が一定以上のクオリティであること。大手出版社から出す以上、編集者はつきますし、あまりにも実力不足の本にはならないはずですが、内容が伴わなければ「金で買ったベストセラー」というレピュテーションリスクが残ります。

面白い点は、10万部のベストセラーまで目指さなければ、もっと現実的な数字になることです。1,000万円で1万部のヒット作、100万円の印税。これなら貯蓄で実現できる範囲です。「重版がかかった商業作家」というブランドの価値は、数字以上に大きい。次の企画が通りやすくなり、メディアからの取材も来やすくなります。

どのルートを選ぶべきか

7つのルートを紹介しましたが、全部を同時にやる必要はありません。重要なのは、自分の現在の立ち位置に合ったものを選ぶことです。

ステージ優先すべき収益ルート
投稿サイトで執筆中ルート3(FANBOX等)+ ルート2(KDP)
書籍化直後(1〜2冊)ルート1の準備(メディアミックス意識)+ ルート6(SNS発信)
中堅(3冊以上)ルート4(講演・教育)+ ルート5(ライター業)
ベテラン全ルートの組み合わせ最適化

印税だけでは食べられない時代だからこそ、収入源は「複数持つ」のが正解です。1本の柱が折れても、他の柱が支えてくれる。その構造を、執筆活動と並行して少しずつ作っていきましょう。

最後に、お金の話をした後に敢えて言います。収益化は大事ですが、それは「書き続けるための手段」であって「目的」ではありません。お金だけが原動力になってしまうと、「売れるものだけを書く」という罠にはまり、書きたかったものが書けなくなる。芸術とお金のバランスについては、別記事でさらに深掘りしています。

最後に、お金の話をした後に敢えて言います。収益化は大事ですが、それは「書き続けるための手段」であって「目的」ではありません。お金だけが原動力になってしまうと、「売れるものだけを書く」という罠にはまり、書きたかったものが書けなくなる。芸術とお金のバランスについては、別記事でさらに深掘りしています。

ラノベ作家の年収の「本当の話」

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