小説執筆に役立つツール・アプリまとめ
小説を書くために必要なものは何か。突き詰めれば「テキストを入力できる環境」と「アイデア」だけです。
しかし、その2つの間には膨大な作業工程があります。ネタ出し、プロット作成、キャラクター設計、本文執筆、推敲、校正——それぞれの工程を助けてくれるツールやサイトは、2026年の今、驚くほど充実しています。
本記事では、小説執筆に役立つツール・アプリ・参考サイトを工程別に整理しました。すべて無料(または無料プランあり)で使えるものを中心に紹介します。
1. 執筆環境を整える
まずは「何で書くか」を決めましょう。2026年時点の主な選択肢を整理します。
Googleドキュメント
無料で使える最も手軽な執筆環境です。ブラウザがあれば端末を選ばず、クラウドに自動保存されるため「保存し忘れて原稿が消えた」という事故が起こりません。
複数端末での同期が完璧で、PCで書いた原稿をスマホの通勤中に読み返す、といった使い方が自然にできます。共同編集機能もあるため、β読者にコメントをもらうときにも便利です。
弱点は縦書きに対応していないこと。横書きで問題なければ、最初の選択肢として最適です。
Nola(ノラ)
小説専用のクラウド執筆ツールです。プロット管理、キャラクター設定、世界観メモ、時系列管理などが一つのプロジェクト内で完結します。PCとスマホの両方に対応。2026年2月時点で68万人以上の作家が登録しており、Nola原作大賞の開催や文学フリマへの協賛など、創作コミュニティとしての側面も成長しています。
「執筆ツール」と「設定管理ツール」が分離していると、ファイルが散らばって管理が面倒になります。Nolaはそれを一箇所にまとめてくれるのが最大の利点です。基本機能は無料で使えますが、プレミアムプラン(有料)は2026年4月に値上げが予定されています。無料会員でも作品データの保持・編集は継続可能です。
Visual Studio Code + Novel Writer拡張
公式:https://code.visualstudio.com/
プログラマー御用達のテキストエディタですが、小説執筆用の拡張機能を入れると、文字数カウント、縦書きプレビュー、ルビ対応などが使えるようになります。
Gitと組み合わせればバージョン管理も可能で、「この修正は失敗だった、3日前の状態に戻したい」という操作が一瞬でできます。ITエンジニア兼業作家にとっては最強の選択肢です。
一太郎
公式:https://www.justsystems.com/jp/products/ichitaro/
日本語テキスト処理に特化した国産ワープロソフト。縦書き、ルビ、禁則処理、原稿用紙モードなど、小説家が必要とする機能が網羅されています。有料ですが、公募派には根強い人気があります。
最新版の一太郎2026では、ATOKに生成AI活用の文章作成アシスタント「ATOK MiRA」が新搭載されました。また、AmazonのKindle Direct Publishing(KDP)ペーパーバックに対応したスタイルが24点追加され、一太郎で作成した作品をそのままオンデマンド出版できるようになっています。
従来からのATOK連携による推敲支援機能も健在で、誤用チェック、重ね言葉検出、「い抜き言葉」指摘など、日本語ネイティブでも見落とす問題を拾ってくれます。予算に余裕があるなら検討する価値は十分あります。
どれを選ぶべきか
| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| とにかく手軽に始めたい | Googleドキュメント |
| 設定管理も一元化したい | Nola |
| バージョン管理をしたい | VS Code + Git |
| 公募で紙の体裁にこだわる | 一太郎 |
迷ったらGoogleドキュメントで始めて、不満が出てきたら乗り換える——というアプローチが一番無駄がありません。
2. 推敲・校正ツール
書き上げた原稿を磨く工程です。自分の目だけでは見落とす問題を、ツールが拾ってくれます。
Novel Supporter(小説推敲補助ソフト)
公式:https://crocro.com/pc/soft/novel_supporter/
Windows向けの無料ソフト。文末重複、こそあど確認、文長ヒートマップ、画数ヒートマップなど、小説特化の推敲機能が豊富です。
誤字脱字を直すツールではなく、「読みにくさの原因」を可視化するツールです。眼鏡をかけると文字が見やすくなるように、このソフトを通すと自分の文章の癖が見えるようになります。Windows環境の方はぜひ試してください。
Enno(日本語エラーチェック)
Webブラウザ上で動く校正ツール。タイポ、変換ミス、誤字脱字をチェックしてくれます。
注意点として、入力した文章はサーバーに送信されます。SSL暗号化されておりデータベースへの保存は行わないと明言されていますが、未発表原稿の全文を貼り付けるのは避け、気になる箇所だけチェックする使い方が安全です。
ノベルチェッカー
公式:https://ranove.sakura.ne.jp/check.php
文章の禁則事項(行頭字下げ、三点リーダー、カッコ末尾の句読点など)をチェックし、総文字数や原稿用紙換算枚数も計算してくれます。
公募応募前の最終チェックに最適です。電撃、ガガガ、富士見ファンタジアなど出版社ごとのフォーマットに合わせた計算にも対応しています。
3. 文章分析・診断ツール
自分の文章の傾向を客観的に知りたいときに使えるツールです。
小説形態素解析CGI(β)
公式:https://ennach.sakura.ne.jp/Morph/
文章を入力すると、名詞・動詞・副詞などの出現頻度を数値化してくれます。「地の文とセリフの比率」「漢字・ひらがなの比率」「一文の長さの平均」なども算出。
「やや地の文が多めの文体です」「副詞が少なめです」といったコメントも出力してくれるため、自分の文章を数字で客観視する良いきっかけになります。
文体診断ロゴーン
文章を入力すると、既存の名作の中から類似の文体を探し出してくれます。「あなたの文体は浅田次郎に一致指数89.1%」のような結果が返ってきます。
遊び半分で使えるツールですが、「自分が無意識にどんな文体で書いているか」を知る手がかりにはなります。
類語辞典・連想類語辞典
Weblio類語辞典:https://thesaurus.weblio.jp/
連想類語辞典:https://renso-ruigo.com/
Weblio類語辞典と連想類語辞典は、表現の幅を広げるための必須ツールです。
「表現が定まってきてしまう」問題——同じ言い回しを繰り返してしまう症状は、多くの作家が経験します。類語辞典は、その「もう一つの言い方」を瞬時に教えてくれます。特に連想類語辞典は、曖昧な検索にも対応してくれるため、「この感覚を表す言葉が思い出せない」ときに重宝します。
4. ネタ出し・プロット支援ツール
「何を書くか」に詰まったときの味方です。
診断メーカー(三題噺)
ランダムに3つのお題を提示してくれます。三題噎とは、提示された3つのキーワードを折り込んで即興で物語を作る形式です。ネタ出しに困ったときに、強制的に発想の起点を与えてくれます。「自由に書いていい」と言われると書けないのに、制約があると書ける。人間の創作心理をうまく突いた仕組みです。
タロットプロット
もともと「即席アイデアメーカー」——「性質」×「人物」×「場所」をランダムに組み合わせるネタ出しツール——として知られていましたが、現在は大幅に機能が拡張されています。
タロットカードを引く形式で、ストーリー設計(三幕構成の主人公視点プロット)、キャラクター設定(役割別設定&ペルソナ分析)、ワールド設定(世界観12枚引き)まで対応。さらに文章推敲支援ツール(リライトマーカー、接続詞マーカー、こそあどマーカー、会話文抽出機、地の文抽出機など)も無料で使えます。
「何を書くか」だけでなく「書いたものをどうチェックするか」までカバーする、創作者にとって使い勝手の良い総合ツールに進化しています。
MidPlot
三幕構成の作成を補助するアプリ。AI機能を搭載しており、流れに沿って進めるだけで本格的なプロットが作成できます。グラフ機能やカードボード機能で物語の構造を視覚的に管理できるのが強みです。
ストーリーのネタ
創作に使えるネタや論考を集めたサイト。歴史上の事件、都市伝説、科学トリビアなど、物語の種になる情報が大量にストックされています。
「何を書いていいかわからない」のではなく「何が書けるかを知らない」というケースは意外に多いものです。このサイトをぼんやり眺めているだけでも、「これ、物語にならないか?」という引っかかりが見つかります。
5. AI執筆支援ツール【2026年版】
2026年現在、AI執筆支援ツールは急速に進化しています。ただし、AIはあくまで「支援」であり、最終的な判断は作家自身が行うべきです。
ChatGPT / Claude / Gemini
ChatGPT:https://chatgpt.com/
Claude:https://claude.ai/
Gemini:https://gemini.google.com/
汎用AIチャットツールですが、プロット相談、キャラクター設定のブレインストーミング、文章の推敲依頼など、創作のあらゆる場面で使えます。2026年現在、Googleが提供するGeminiも有力な選択肢です。Geminiは無料枠が広く、Googleアカウントがあればすぐに使い始められるため、AI創作支援の入門に向いています。
使い方のコツは「漠然と聞かない」こと。「面白い小説のアイデアを出して」ではなく、「復讐がテーマの異世界ファンタジーで、主人公が復讐を達成した後に虚無感を覚える展開のプロットを3案出して」のように具体的に指示するほど、有用な回答が返ってきます。
特に有効な使い方を3つ挙げます。
1. 壁打ち相手——「この展開、読者にどう映るか」を聞く。AIの回答が正解ではなくても、自分の考えを言語化する過程で整理される
2. 架空の世界のリサーチ——「中世ヨーロッパの騎士の一日のスケジュールを教えて」のような資料調査。ただし回答は必ず裏取りすること
3. 文体のセカンドオピニオン——書いた文章を貼って「冗長な部分はどこか」と聞く。機械的な目で客観視できる
AI BunCho
小説に特化したAI文章生成ツール。大規模日本語言語モデルを使用しており、文脈に沿った文章生成が可能です。タイトル提案、プロット生成、本文生成など多機能。これまでに300万点以上の作品がAI BunChoを通じて生み出されています。基本機能は無料で使えますが、高度な機能は有料プラン(月額550円〜)が必要です。
AIのべりすと
日本語で訓練された小説AI。入力した文章の続きをAIが生成します。セリフ優先・地の文優先など、生成の方向性を指定できるのが特徴。
AIが生成した文章にそのまま自分の名前を載せるのは論外ですが、「AIの提案を叩き台にして、自分の言葉で書き直す」使い方は、発想の壁を突破する有効な手段です。
6. キャラクター作り支援
キャラクターは物語の核です。ありきたりなキャラにならないための支援ツール・サイトを紹介します。
エニアグラム(9つの性格タイプ)
ユング心理学に基づく性格分類システム。9つのタイプ(完璧主義者、助ける人、達成する人など)を理解すると、キャラクターの行動原理に一貫性を持たせやすくなります。
「このキャラはタイプ3(達成者)だから、失敗を極端に恐れる」——こうした心理的根拠があると、キャラクターの行動にリアリティが生まれます。
MBTI(16タイプ性格診断)
16の性格タイプでキャラクターを分類する方法。読者にも馴染みのある診断なので、「主人公はINFJ型」と設定すると、読者が直感的にキャラクターの性格を理解できる副次効果があります。キャラクター同士の相性を設計するときにも使えます。たとえば「主人公はINFP、相棒はENTJ」と設定すれば、価値観の衝突が自然に生まれます。
キャラクター設定テンプレート
米澤穂信さんが紹介した手法に「あなたはどういう人間ですか?」を何十回も繰り返すというものがあります。同じ質問への回答が回を重ねるごとに深くなり、キャラクターの本質が浮かび上がってきます。
テンプレートに項目を埋めるだけでは表面的な設定しかできません。むしろ「なぜその性格なのか」「過去に何があったのか」「絶対に譲れないものは何か」という本質を5つの質問で掘り下げるアプローチが効果的です。
イラスト依頼サービス(SKIMA、ココナラ等)
SKIMA:https://skima.jp/
ココナラ:https://coconala.com/
見た目からキャラクターの性格付けを行うのも有効な方法です。黒髪ロングなら清楚、金髪ツインテールならギャル——こうしたイメージは、イラストとして具現化されると強くなります。
簡単な性格を決め、イラストを描いてもらい、それを見ながら性格をブラッシュアップする。これが実は一番効率が良いキャラクターづくりかもしれません。SKIMAやココナラで2,000〜5,000円程度から依頼できます。
7. 創作講座・参考サイト
独学で小説を学ぶための無料リソースです。
ライトノベル作法研究所
公式:https://www.raitonoveru.jp/
ラノベの書き方をこれでもかというほど解説しているサイト。創作の批評依頼やプロローグ相談も可能で、小説家同士の交流の場としても機能しています。ここから何人かプロの小説家が生まれたのも有名な話です。
Q&A形式の「創作相談」コーナーも有用です。「主人公に共感要素がないと言われた」「序盤が退屈だと指摘された」といったリアルな悩みに対して、実践者からの回答がアーカイブされています。自分と同じ悩みを検索するだけでも学びがあります。
バズ部(ストーリーライティング)
スターウォーズを題材にした「ヒーローズ・ジャーニーの12ステップ」の解説、ピクサーの「ストーリーライティング22のルール」など、物語構造の基礎を学べる良記事が揃っています。
読書猿Classic
公式:https://readingmonkey.blog.fc2.com/
「物語作者がチラシの裏に書くべき7つの表」は特におすすめ。対人関係マトリクスや主人公-ライバル対照表など、頭の中にあるものを形にする具体的な方法論が紹介されています。
「生まれてはじめて書く人のための、小学生向け小説執筆マニュアル」は、タイトルに反して大人が読んでも気づきがあります。「創作行為の神秘性」を排除した、実践的なアプローチです。
あらすじドットコム
かつては名作小説のあらすじデータベースとして知られていましたが、現在は「物語構造診断」サービスへと進化しています。わずか1分の診断で物語の構造的な課題を明確にし、改善ポイントを提示してくれます。
自分の作品のあらすじを入力して構造チェックを受ける使い方が効果的です。プロットの段階で弱点を発見できるため、本文を書き始める前の検証ツールとして活用できます。
Web Novel Labo(小説LABO)
公式:https://creative-story.net/
小説の書き方に関する記事を体系的にまとめたサイト。文章技法から構成論、小説投稿サイトのレビュー、創作に役立つ新刊情報まで幅広くカバーしています。2026年現在も精力的に更新が続いており、「ネオページ」などの新興投稿サイトのレビューや、同人誌印刷サービスの実践レポートなど、実用的な記事が充実しています。一つひとつの記事が読みやすく、電車の中で一記事ずつ読み進めるのに向いています。
8. SNS発信ツール
書いた作品を届けるためのツールも紹介しておきます。
新書ページメーカー(SS名刺メーカー)
公式:https://sscard.monokakitools.net/
テキストを書籍の本文のようなレイアウトで画像化するツール。X(旧Twitter)で自作小説の一部を投稿するとき、テキストベタ貼りよりも格段に読みやすくなります。
Twitter自動連携機能もあり、4ページずつ投稿する機能が便利です。フォント設定は「源暎こぶり明朝」、「文字中1段(15行×39字)」が読みやすいのでおすすめです。
まとめ:ツールは手段、書くのはあなた
ここまで30以上のツールとサイトを紹介しましたが、最も大切なことを最後に言います。
ツールを集めるだけで満足してはいけません。
ブックマークに保存して「いつか使おう」で終わる人が、体感で8割です。筆者も過去に100本以上の創作系サイトをブックマークして、実際に使ったのは10本もありません。ツールは使わなければ意味がない。そして、ツールはあなたの代わりに書いてはくれない。
おすすめの始め方はこうです。
1. 執筆環境を1つ決める(迷ったらGoogleドキュメント)
2. 書く
3. 書き上がったらNovel Supporterか形態素解析で自分の文章を分析する
4. 足りない部分をツールで補う
「まず書く」が先で、ツール選びは後。順番を間違えると、ツール比較記事を読むだけで執筆時間が終わります。
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