小説の文章力を確実に上げる方法|模倣+3つの習慣で上達するトレーニング術
「小説を書くのは好きだけど、文章力に自信がない」——この悩み、自分だけだと思っていませんか。実はプロの作家でも、デビュー前は同じことを思っていました。
でもはっきり言います。文章力は才能ではなく、習慣で身につくスキルです。
この記事では、文章力を確実に上げるたった1つの方法と、それを支える3つの習慣を紹介します。
そもそも「わかりやすい文章」とは何か
文章力を語る前に、ゴールを明確にしましょう。「わかりやすい文章」の条件は以下の5つです。
1. 難読漢字や専門用語が少ない
– ❌ 忌憚(きたん)のない意見 → ⭕ ありのままの意見
2. 一文に一つの事柄だけ書いている
– ❌ 今日はいつもより早く仕事が終わったので、前から読みたかった本を買って帰り…
– ⭕ 今日はいつもより早く仕事が終わった。帰りに本屋に寄った。
3. 主語と述語が1対1で対応している
– ❌ 私は、このカレーは辛い。 → ⭕ 私は、このカレーは辛いと感じる。
4. 修飾語と被修飾語が近い
– ❌ 私は友達と家族について話した → ⭕ 私は家族について友達と話した。
5. 具体的である
– ❌ 大人数 → ⭕ 30人ほど
この5つを満たす文章が書ける——それが「文章力がある」ということです。難しい言葉を並べることでも、美文を書くことでもありません。
文章力を上げるたった1つの方法——「好きな作家を模倣する」
芸術は模倣から始まるといいます。絵画でも音楽でも、巨匠は必ず先人の模倣から出発しています。小説も同じです。
最も確実で最速の方法は、好きな作家の文章をそのまま書き写し、徹底的に研究すること。
暗唱できるほど読み込んだ作品がベスト。なければ、何度か読み返したお気に入りの作品で構いません。
ただし、漫然と書き写すだけでは効果は薄い。「作家のクセ」に注目しながら模倣することが重要です。
模倣するとき注目すべき7つのポイント
1. よく使う接続詞は何か——「しかし」が多い作家、「そして」を使わない作家
2. 句読点の打ち方——読点が多い作家か少ない作家か
3. 漢字のひらき方——「事→こと」「物→もの」の基準
4. 一文の長さ——短文で畳みかけるタイプか、長文で引き込むタイプか
5. セリフと地の文の配分——セリフ7:地の文3の作品もあれば、逆もある
6. 感情の省略方法——「悲しい」と書かずにどう伝えているか
7. 場面の切り替え方——空行、時間経過、視点変更のパターン
この7つに注目しながら写経すると、「なぜこの文章が読みやすいのか」が体感でわかるようになります。
実践例:村上春樹の文章を分解する
たとえば村上春樹の文章は、一文が短く、接続詞が少なく、日常的な言葉で書かれています。感情を直接述べることはほとんどなく、動作や風景で表現するのが特徴です。これを知ったうえで書き写すと、「ああ、この一文の短さが読みやすさの秘密か」と気づきます。
文章力を支える3つの習慣
模倣を効果的にするために、以下の3つの習慣を組み合わせてください。
習慣1:毎日必ず書く
量は関係ありません。日記でも、好きな小説の一段落の書き写しでも構いません。「今日も書いた」という事実が筋力になります。
筋トレと同じで、週に一度3時間より、毎日15分のほうが効果的です。
習慣2:知らない言葉をすぐ調べてメモする
本を読んでいるとき、ニュースを見ているとき、知らない単語に出会ったらすぐ調べる。スマホのメモ帳でも、紙のノートでも構いません。
ここで重要なのは「調べた言葉を一度自分の文章で使ってみる」こと。意味を知っているだけの「理解語彙」を、実際に使える「使用語彙」に変換する作業です。
習慣3:書いた文章を必ず推敲する
一度書いたら終わりではありません。翌日に読み返してみてください。「ここ、わかりにくいな」「この一文、長すぎるな」——必ず直したい箇所が見つかります。
推敲のコツは「一日寝かせる」こと。
書いた直後は「自分の頭の中の補完」が働いて、問題点に気づけません。一晩寝かせると、自分の文章を他人の文章のように読めるようになります。
1か月後のチェック方法
3つの習慣を1か月続けたら、1か月前に書いた自分の文章を読み返してみてください。
直したい箇所がたくさん見つかるはずです。それは恥ずかしいことではありません。直したい箇所が見えること自体が、文章力が上がった証拠です。
かつて自分が書いた文章に赤ペンを入れたくなる——その衝動が続く限り、あなたの文章力は伸び続けます。
まとめ——才能より習慣、習慣より継続
文章力は、生まれつきの才能ではなく技術(スキル)です。
• 好きな作家を模倣する——7つのクセに注目しながら書き写す
• 毎日書く——量より頻度が大切
• 知らない言葉をすぐ調べる——理解語彙を使用語彙に変換する
• 推敲を怠らない——一日寝かせて読み返す
この4つを1か月続けてみてください。そして1か月前の自分の文章を読み返す。きっと、目に見える成長が実感できるはずです。
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