小説で使える「怒り」の感情表現30選|ムカッから激昂まで例文付き辞典
「怒り」は物語を動かす最強のエンジンのひとつです。復讐劇も成長物語も、出発点には必ず怒りがあります。
でも「怒った」「キレた」だけでは単調です。人間の怒りには「むっとする」程度の軽い不快から、拳を震わせるような激昂まで幅があります。この幅を書き分けられるかどうかで、キャラクターの深みが決まります。
この記事では、小説で使える「怒り」の感情を表す言葉30選を強度別に紹介します。
強度レベル1:軽い不快・不機嫌
日常的に使える表現です。不機嫌な空気を演出するのに最適。
1. むっとする——不快になって黙り込むさま
> 彼女の一言にむっとしたが、言い返す気にもなれなかった。
2. カチンとくる——ちょっとした言動にさっと腹が立つ
> 上司の嫌味にカチンときたが、笑顔でやり過ごした。
3. 腹が立つ——怒りを感じること(最も汎用性が高い)
> 自分の不甲斐なさに、何より腹が立った。
4. 不愉快——気分を害されたさま。やや硬い表現
> 彼の態度は実に不愉快だった。
5. お冠(おかんむり)——不機嫌であること。やや古風でユーモラス
> 課長は今大変お冠だ。近づかないほうがいい。
使い分けのコツ: 「むっとする」は表に出さない怒り、「カチンとくる」は瞬間的な苛立ち、「お冠」は第三者がやや面白がって報告するニュアンスがあります。キャラクターの性格によって選ぶと自然です。
強度レベル2:明確な怒り
感情がはっきり表に出始める段階。物語の転換点に使いやすい語群です。
6. ムカッとする——短い怒りが突き上げてくるさま
> 彼の一言にムカッとして、思わず言い返してしまった。
7. キレる——本気で怒ること(口語的だがリアリティがある)
> 「そんな小さなことでキレてどうするの?」
8. 鼻息が荒い——思い込みが強く、興奮しているさま
> 「絶対にあいつが犯人だ!」と彼は鼻息を荒くした。
9. 苛立つ(いらだつ)——思い通りにならず焦りと怒りが混ざるさま
> 信号が変わるたびに引っかかり、苛立ちが募った。
10. 業を煮やす(ごうをにやす)——我慢の限界に達すること
> 何度注意しても直らない部下に、とうとう業を煮やした。
強度レベル3:抑えがたい怒り
身体的な反応が伴う強い怒り。アクションシーンやクライマックスに効果的です。
11. 向かっ腹(むかっぱら)——理由のない腹立たしさ
> にっちもさっちもいかない状況に、向かっ腹が立った。
12. 血が逆流する——激しい怒りが全身を駆け巡るさま
> 一報を受けた瞬間、血が逆流するのを感じた。
13. はらわたが煮えくり返る——激しい怒りを感じること
> 裏切りの事実を知って、はらわたが煮えくり返った。
14. 怒髪天を衝く(どはつてんをつく)——怒りで髪が逆立つほどの激怒
> 冤罪の判決に、彼は怒髪天を衝く勢いで立ち上がった。
15. 逆鱗に触れる(げきりんにふれる)——目上の人を激怒させること
> その一言が、社長の逆鱗に触れた。
強度レベル4:爆発・暴走
物語の決定的瞬間に使う最重量級の表現です。使いすぎると効果が薄れるので注意。
16. 激昂(げっこう)——激しく怒り興奮すること
> 彼は激昂のあまり、椅子を蹴り倒した。
17. 憤怒(ふんぬ)——深く激しい怒り(文語的で重みがある)
> 憤怒の形相で、彼は刀を抜いた。
18. 烈火のごとく——激しく燃え上がるように怒るさま
> 裏切りを知った彼女は、烈火のごとく詰め寄った。
19. 怒号——怒りを込めた大声
> 怒号が飛び交う会議室から、誰もが逃げ出した。
20. 修羅場(しゅらば)——激しい争いや怒りの場面
> 帰宅した瞬間、そこは修羅場だった。
身体に出る怒りの表現
21. わなわな(と震える)——怒りで体が震えるさま
> 怒りのあまり両手がわなわな震えた。
22. 歯を食いしばる——怒りや悔しさを堪える動作
> 黙って歯を食いしばり、目を逸らした。
23. こめかみが脈打つ——怒りで血圧が上がる描写
> こめかみが脈打っているのが自分でもわかった。
24. 目が据わる——怒りで瞳が動かなくなるさま
> 冗談は終わりだと言わんばかりに、目が据わった。
25. 声が低くなる——怒りが静かに深まるさま
> 「もう一度言ってみろ」彼の声は、かえって静かに低くなった。
怒りのユニークな表現
26. かんかん——すごく怒っているさま(口語的)
> あいつ今かんかんだったよ。何があったの?
27. 青筋を立てる——怒りで額などに血管が浮き出ること
> 彼は額に青筋を立てて怒鳴った。
28. 堪忍袋の緒が切れる——我慢の限界を超えること
> 三度目の遅刻で、ついに堪忍袋の緒が切れた。
29. 虫の居所が悪い——機嫌が悪いこと
> 今日は朝から虫の居所が悪いみたいだ。
30. 地雷を踏む——相手を激怒させる一言を言ってしまうこと
> まさか、その話題が地雷だったとは思わなかった。
使い方のポイント——怒りの「温度」で選ぶ
怒りの描写で最も大切なのは、場面の温度に合った語を選ぶことです。
日常の口論で「激昂」は重すぎますし、命がけの戦闘で「むっとした」では軽すぎる。温度感のミスマッチは読者を冷めさせます。
もうひとつのコツは、「静かな怒り」こそ怖いということ。声を荒げる怒りより、「声が低くなる」「目が据わる」といった抑制された怒りのほうが、読者に寒気を与えます。
❌ 彼は怒った。とても怒っていた。
⭕ 「もう一度言ってくれ」と彼は言った。声は穏やかだった。ただ、握った缶コーヒーがべこりとへこんでいた。
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