なろうランキング不正事件から学ぶ——作家が「宣伝の罠」に落ちないための全知識

2023年5月23日

こんにちは。腰ボロSEです。

「自分の作品を、もっと多くの人に読んでもらいたい」——Web小説を書いている方なら、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。毎日コツコツ投稿しても、PVは伸びない。ランキングの上位は常連が占めている。そんな焦りの中で「宣伝サービス」という甘い誘惑に手を伸ばしてしまった作家さんがいました。

この記事では、2023年に「小説家になろう」で実際に起きたランキング不正事件の全貌を整理し、同じ罠に落ちないための具体的な対策をお伝えします。

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事件の概要——何が起きたのか

2023年5月、スキル販売サイト「ココナラ」で販売されていた「作品宣伝のための集客サービス」を購入した作家さんが、小説家になろう運営から警告を受け、作品を削除される事件が発生しました。

このサービスの商品説明は「SNSでの宣伝によるPV増」を謳っていました。しかし実態は、大量の複数アカウントからポイントを投入して無理やりランキングにねじ込み、PVを増加させるものだったのです。

当然、小説家になろう運営に不正なポイント操作として検知されました。最悪の場合、アカウント削除もありえた深刻な事案です。

時系列の整理

時期出来事
2023年5月以前ココナラ上で「集客サービス」が販売される
2023年5月作家がサービスを購入。ポイント操作が運営に検知される
同月なろう運営が公式に「金銭対価の不正評価サービス」への警告を発表
同月当該作家が作品を削除される。アカウントは存続
事後作家本人が「ランキングの不正の件についてのお詫びと啓発」エッセイを公開

なろう運営は公式に以下のような声明を出しています。

> 現在、金銭を対価に作品への不正な評価入力等を請け負う外部サービスを確認しております。該当サービスを利用した場合、違反として対応を行う可能性がありますのでご注意ください。

「宣伝したい」という気持ちは責められない

本件に関しては様々な意見があるかと思いますが、私は作家さんが「自分の作品を読んでほしい」という気持ちを尊重しますし、集客サービスを利用した心理も理解できます。

世の中にはスコッパー(掘り出し物作品を探して宣伝する人のこと)がたくさんいらっしゃいます。しかし作品数はスコッパーがピックアップ可能な数をはるかに超えています。誰に見つけてもらえるかはスコッパーのセンス次第であり、感性が合わなければ一生宣伝されません。

作家であれば、スコッパーに宣伝されてPVが伸びた作品と自分の作品を比べて、「宣伝さえあればPVは伸びるはずだ」と考えることもあるでしょう。宣伝サービスが合法のものであれば、実際にPVが伸びて書籍化が実現するかもしれない。この状況で手を伸ばしてしまう心理は、誰にでも起こりうるものです。

「SNSで宣伝しろ」は万能ではない

「Xで自力宣伝すればいい」という声もよく聞きます。しかしSNSでバズるポストを投稿できるのは、限られた才能を持つ人だけです。凡人はバズったポストを必死に研究することから始めなければなりません。

現代はマルチタレントを求めすぎています。小説執筆とSNS運用をダブルでやれというのは、時間も労力も限られている兼業作家にはあまりにも酷です。小説の才能はずば抜けているけれど、SNS投稿が苦手な人はいくらでもいます。自分の苦手はアウトソーシングするという考え方自体は、もっと寛容に受け入れられるべきでしょう。

問題なのは「アウトソーシングの手段」であって、「宣伝したいという気持ち」ではありません。

なぜ不正は検知されるのか——なろうランキングの仕組み

小説家になろうのランキングは、ポイント・ブックマーク・PVなどの複合スコアで算出されています。運営は不正を検知するために、以下のようなパターンを監視していると考えられます。

検知パターン内容
急激なポイント増通常の読者増加カーブから大幅に外れた異常値
同一IP帯のアクセス複垢からのポイント投入は同一IP帯に集中しやすい
アカウントの行動履歴新規アカウントが特定作品にのみポイントを投入するパターン
時間帯の偏り深夜に集中する不自然なポイント投入

『ソードアート・オンライン』のカーディナル・システムのように、コンテンツプラットフォームにも不正を監視する仕組みが組み込まれています。どんなに巧妙な手口でも、統計的な異常値は検出されてしまうのです。

同じ罠に落ちないための5つの防衛策

では、作家として自分の身を守るにはどうすればよいのでしょうか。具体的な防衛策を5つ挙げます。

1. 「仕組みが不明」なサービスは購入しない

スキル販売サイトで宣伝サービスを見つけた場合、どのような手法でPVを増やすのかが明記されていないものは避けてください。「SNS拡散」と書かれていても、実態が複垢ポイント投入であるケースがあります。

2. 実績と評価を慎重に確認する

ココナラやクラウドワークスで依頼する場合は、提供者の実績件数・レビュー内容・プロフィールの詳細を確認しましょう。可能であれば、実際にどのSNSアカウントで拡散するのかを事前に確認するのが安全です。

3. なろう運営の規約を定期的に確認する

小説家になろうの利用規約やお知らせは、定期的に更新されています。「金銭対価の評価操作」は明確に規約違反とされていますので、規約を読む習慣をつけましょう。

4. 正規の宣伝手段を知っておく

小説家になろうには、以下のような規約に抵触しない宣伝手段が存在します。

手段概要難易度
活動報告なろう内での近況報告。既存読者への告知に有効★☆☆
XでのURL共有更新報告や創作語りで自然に作品を紹介★★☆
感想返し他作品に感想を書くことで認知を広げる★★☆
自主企画への参加なろう内の読者交流企画に参加する★★☆
Pixivファンボックス等創作過程を有料配信し、ファンコミュニティを育てる★★★

5. 最強の宣伝は「面白い作品を書くこと」

これは精神論ではなく、アルゴリズム的にも正しい戦略です。継続的に投稿し、読者が自発的にブックマークやポイントを入れてくれれば、オーガニックな成長曲線がランキングに反映されます。不正な急上昇とは異なり、この成長は運営にフラグを立てられるリスクがありません。

もし、すべてのサービスが疑わしく見えてきたなら、宣伝のことは一旦忘れて執筆に集中しましょう。結局、面白い作品をコツコツと毎日投稿する以上の宣伝はありません

当事者からの啓発——同じ過ちを繰り返さないために

事件の当事者である作家さん本人からも、「ランキングの不正の件についてのお詫びと啓発」というエッセイが発表されています。誰もが手を伸ばしてしまいそうな誘い文句で勧誘があったと語られており、他人事ではないと感じさせる内容です。

こうした当事者の声を共有し、業界全体で「不正な宣伝サービス」への警戒意識を高めていくことが大切ではないでしょうか。

まとめ

本記事では、小説家になろうで発生した集客サービスによるランキング不正事件を振り返りました。

ポイント内容
事件の実態「SNS宣伝」を謳いながら、実態は複垢ポイント操作だった
作家の心理「読んでほしい」という切実な気持ちは責められない
防衛策仕組み不明のサービスを避け、正規の宣伝手段を活用する
最強の宣伝面白い作品をコツコツ投稿すること

「宣伝したい」という気持ちは、それだけ自分の作品を大切に思っている証拠です。その情熱を、不正な業者ではなく、物語のクオリティに注ぎ込んでいきましょう。

もし悩むことがあったら、このブログに戻ってきてください。同じように初心者だった私が、基礎から応用まで気づいたことを書き綴っています。

さて、今日も物語を書きましょう。腰は壊しても、筆は折らない。


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