小説家がクラウドファンディングで支援を集めるには?実体験から考える「嬉しいリターン品」の作り方
「自分の小説をいつか本(物理書籍)にしたいけれど、自費出版するにはお金がかかりすぎる」
「コンテストで大賞を獲る以外のルートで、読者に作品を届ける方法はないのだろうか」
そんな風に、書籍化の壁の高さにため息をついたことはありませんか?
出版不況と言われる現代、プロデビューという一本道しか正解がないように感じて、息苦しくなってしまう気持ちはとてもよくわかります。
この記事では「小説家がクラウドファンディングで支援を集める際のリターン品の考え方」について説明します。これを読めば、ただお金を集めるのではなく、読者と「共犯関係」になり、誰もが自分の行きたい道を切り拓くためのヒントが見つかるはずです。
「誰もが行きたい道を行けばいい」を実現したプロジェクト
少し個人的な思い出話をさせてください。
かつて私は、想実堂さんが主催する『TEAPOT』というWebサービス設立のクラウドファンディングに、いち支援者(ファン)として参加しました。
TEAPOTは「誰でも書籍化!小説家として稼げるサイト」というコンセプトを掲げ、クリエイター自身が自由に作品を本にして利益を得られるプラットフォームを目指した素敵なプロジェクトでした。
その後、無事に企画が成立し、私の手元に「プロジェクトリターン品」の書籍やグッズが届いた日の感動は、今でも鮮明に覚えています。
箱を開けた瞬間、主催者さんの熱い想いが無事に形になったこと、そして「誰かの夢が実現する瞬間に、自分も立ち会えたのだ」という喜びで胸がいっぱいになりました。
一人のファンとしてお金を払い、この大きな喜びを体験したからこそ、私はある確信を持っています。
それは、「出版社を通す従来のルートが絶対ではなく、誰もが自分の行きたい道を行けばいい時代になったのだ」ということです。
作品を価値あるものだと信じてくれる読者がいれば、小説家はクラウドファンディングを通じてファンと共に本を形にできる時代が来ています。
支援者がクラウドファンディングで本当に欲しいもの
では、いざあなたが「自分の小説を書籍化したい」「イラストレーターに表紙を依頼して豪華な本を作りたい」とクラウドファンディングを立ち上げるとします。
その際、支援してくれる読者は「どのようなリターン品(お礼)」を求めているのでしょうか。
TEAPOTへの支援を通じて、一人の「支援者」となった私が実感したのは、「パトロン(支援者)は物質的な価値ではなく、感情的な体験にお金を払っている」ということです。
たとえば、5,000円の支援に対するリターンが「5,000円相当の市販のグッズ」であったなら、それはただの「お買い物(通信販売)」になってしまいますよね。
支援者が本当に求めているのは、損得勘定ではありません。
「自分のおかげで、この素晴らしいプロジェクト(あなたの小説)が世に出たのだ」という、一緒に夢を追いかけたという証(あかし)なのです。
小説のクラウドファンディングにおける「リターン品」のアイデア
支援者の心理を踏まえた上で、小説家がクラウドファンディングを実施する際に設定すべき、喜ばれるリターン品のアイデアを分類してみました。
| リターンの種類 | 具体的なアイデア例 | 支援者が感じる価値(体験) |
|---|---|---|
| 完成品の共有 | 出来上がった書籍(自著が載っていると良いですよね!)、サイン入り特装版 | 自分が支援した結果を物理的に感じられる喜び |
| 制作過程の共有 | 限定の活動報告、没プロットや設定資料の公開 | 普段は見られない裏側を知る優越感と参加意識 |
| 物語への介入 | 支援者の名前が本編のモブキャラとして登場する権利 | 大好きな世界の一部に自分が組み込まれる感動 |
| 名誉と感謝 | 書籍の巻末に「スペシャルサンクス」としてお名前掲載 | プロジェクトの立役者として歴史に名が刻まれる誇り |
| キャラクター体験 | 登場人物からの書き下ろし「お礼の手紙(便箋)」 | 物語のキャラクターから直接感謝される没入感 |
1. 「一緒に名前が残る」という最強のリターン
とくに人気が高いのは、巻末への「スペシャルサンクス(お名前掲載)」です。
クラウドファンディング発で大成功を収めたアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』や、インディーゲームの多くでも、スタッフロールに支援者の名前がズラリと並ぶ演出が採用されています。
「自分の推した作品とともに、自分の名前が残る」というのは、ファンにとって何にも代えがたい名誉になります。
2. 「キャラクターからの手紙」の破壊力
小説ならではの強みを活かすなら、「キャラクターからの手紙」は非常に喜ばれるリターン品です。
「主人公から支援者への感謝のメッセージ」や、「ヒロインが支援者に向けて書いた秘密の手紙」など、物語の世界観を現実まで拡張して届けることができます。
原価は紙と封筒代しかかかりませんが、そこに乗っている“物語の付加価値”は、読者にとってプライスレスな宝物となるのです。
お金を集めるのではなく「共犯者」を集める
クラウドファンディングを「お金をもらうシステム」だと考えてしまうと、尻込みしてしまうかもしれません。
しかし、本質は違います。
あれは、あなたの見ている夢や、書きたい物語の情熱に共感してくれる「共犯者」を募るお祭りなのです。
コンテストに落ちたからといって、あなたの作品に価値がないわけではありません。
評価軸は決して一つではないのです。
もし「この作品はどうしても自分の手で本にしたい」という強い情熱があるのなら、読者を巻き込んだクラウドファンディングという手段は、あなたに「行きたい道を行く自由」を与えてくれる強力な武器になります。
近年では、個人クリエイターが挑戦しやすいプラットフォームも充実しています。
たとえば国内最大級のCAMPFIRE(キャンプファイヤー)はサポートが手厚く、初めての方でも企画を立ち上げやすいのが特徴です。
また、Makuake(マクアケ)は熱量の高い支援者が集まりやすく、創作系のプロジェクトとも相性が良いプラットフォームとして知られています。
自分の作品や読者層に合った舞台を選んで、一度「自分ならどんな本を作るだろう」と想像してみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、TEAPOTのプロジェクトを通じた実体験をもとに、小説家がクラウドファンディングを実施する際の「喜ばれるリターン品」の考え方について解説してきました。
支援者が求めているのは商品そのものではなく、「あなたの夢の実現に立ち会えたという体験」なのだということが伝わったでしょうか。
「出版社から声をかけられるのを待つ」だけが、読者に本を届ける唯一の正解ではありません。
もしあなたの中に「どうしても本という形に残したい物語」があるのなら、クラウドファンディングでの書籍化を選択肢の一つとして考えてみるのも、素晴らしい挑戦になるはずです。
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