《映画感想》JOKER 孤独、病気、貧困の3重苦が狂人を創造する
凄まじい映画でした。
映画でしかできない表現です。
なぜなら漫画や小説やドラマでこの話をやろうとしたら、確実にお客さんがついてこないからです。日本ではこの企画を持ち込んだ際に、映画に出来るかも怪しいと思います。
海外はこの映画のオッケーがでて、実際にヒットするのだから凄いです。表現の自由が何よりも確保されているのだとわかります。確実に時代を表す映画の1つとして後世に残る作品です。
物語作家の目線から見た場合、この映画はキャラクター創造にあたって重要なことを教えてくれます。
それはjokerを作り出すのは孤独と病気と貧困であることです。これは狂人を描き出すときの1つのテンプレとして考えていいと思います。
中でも孤独が重要です。親に育ててもらったという幸せな思い出がかけらでも残っていればjokerにはなりません。
あとはどんな病気を持たせるか、どんな貧困の表現をするかでオリジナリティを出せば、joker相当の魔物を作り出すことができるでしょう。
この3つが揃ったとき人はjokerになり、自分の本能の赴くままに行動をする無敵の人になってしまいます。jokerの場合は銃が手元にあり、気に入らない人を殺すことができてしまいました。
そして本能のままに動くことは、同じ境遇の人の心を動かしてしまうのでしょう。だからjokerが群集のヒーローとして描かれて終わりました。
JOKERが教えてくれるもの
かつて殺人に理由が必要な時代がありました。警察は殺人犯を捕まえると、被害者とどういう関係だったのか、恋の揉め事か、身内が誰か殺された復讐かなどを尋問しました。
それがいつからか、理由なく人を殺す犯人が出てきました。まわりが「普通の人」だったのにと語る犯人が猟奇的殺人を行う時代がやってきたのです。
そして普通の人と言われ理解されなかった人々を、ついに理解して描いた作品こそが本作jokerなのでしょう。
一昔前であればこの映画が話題になることはなかったと思います。
ですが今の時代は、jokerをリアルに描ける時代であり、彼を称賛する群衆に共感が生まれてしまう時代なのでしょう。この映画が作られヒットしたということは、恐ろしいことです。
日本はまだ共感をTwitterに書き込めるくらいの元気は残っているようです。孤独、病気、貧困の3重苦に苦しむ人が出ないよう、どれかからでも改善していくことが大事です。
何もしなければ、誰だってこの3重苦に苦しむ可能性があります。だから必死で船から落ちないようしがみつかねばなりません。自己責任という言葉は好きではありませんが、現状にあらがい、もがく気概は必要だと思います。特にもがける余裕のあるうちにもがくことが大事なのでしょう。
私も病気を持っている身。孤独と貧困に陥らないよう、自衛しなければならないと感じました。
映画としては劇薬であり、刺さる人には刺さるが、刺さらない人は理解できないでしょう。ですがこの映画を見て理解できなかった人こそ、この感想を読んでなにかを考えてみていただけたらと思います。
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