《小説感想》お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

2020年9月2日

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あらすじ

 藤宮周の住むマンションの隣には、学校で一番の美少女・椎名真昼が住んでいる。特に関わり合いのなかった二人だが、雨の中ずぶ濡れになった彼女に傘を貸したことから、不思議な交流が始まった。

 自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて、食事をつくり、部屋を掃除し、なにかと世話を焼く真昼。

 家族の繋がりに飢え、次第に心を開いて甘えるようになる真昼と、彼女からの好意に自信を持ちきれない周。素直でないながらも二人は少しずつ距離を縮めていく……

 「小説家になろう」で絶大な支持を集める、素っ気なくも可愛い隣人との甘く焦れったい恋の物語。

物語の面白さ(印象に残った変化)

・主人公の藤宮周(ふじみや あまね)

 恋愛に興味がなかった周が、真昼に食事や部屋の掃除を助けてもらって恩を感じ、真昼のために何かしたいという純粋な思いから、彼女へのプレゼントに悩み、彼女が人知れず努力していることに気づいてあげられるようになり、クリスマスを一緒に過ごさないかと誘うくらいの積極性を身に着けたこと。
 そして、真昼と一緒にいて落ち着くとか、真昼の手料理を食べられることが幸せだと、真っ正直にいうようになったこと。作者さんの狙ったとおり、じれじれだけれども、最初と最後を比べると変化しているなと感じました。

 特に、女の子を大事にするという点では、真昼が公園で雨に打たれているのを見た日から、彼自身の性格は何も変わっていないのだけど、女の子全体を大事にする……から、真昼を大事にする、に変わったところが、周の最も変化した部分だと思いました。

・ヒロインの椎名真昼(しいな まひる)

 異性に対して外向きの笑顔をつくっていた真昼が、周に助けてもらい、周が風邪をひいたことに負い目を持ったのか、看病をしてあげることになり、食事を作ってあげることになり、周の母親の襲来から名前で呼び合うようになり、クリスマスを一緒に過ごしてプレゼントをあげるようになって、周の顔が見られなくなるくらい頬を赤くするようになったこと。
 彼女にとって、周は手のかかるお隣さんだったと思うけれど、手料理に感謝されたり、自分の努力に気づいてくれるところに惹かれて、じれじれと変化したのだろうと感じました。

 最初は主人公に都合のいい女の子のように思ったけれど、家庭で愛情を受けずに育ったふうな描写があり、欲にまみれた男子生徒の目線にさらされていた経験もあるだろうから、最初無欲な周の善意に心惹かれたのかもしれません。

設定の面白さ(印象に残った設定)

・お隣さんっていいですね。おすそ分けが自然ですし、ベランダで鉢合わせという展開も、お隣さんならでは。

展開の面白さ(印象に残った展開)

・公園で雨に濡れている女の子を助けて風邪を引く
 周の良いやつさを印象づけるエピソードでした。

・手料理
 真昼の振る舞う料理の描写が、どれも美味しそうで印象に残りました。女の子と美味しい食事。これがあると読書が進みますね。
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・母親襲来
 お互いを名前で呼ばせるためのギミックとして、母親襲来が有効に使われていました。
 藤宮さん、じゃどっちかわからないので、名前で呼ぶ……とても自然でした。周の昔の話を仕入れるバックドアとしても、母親は使い勝手がよいですね。

・友人バレ
 ベランダで鉢合わせという展開がとてもおもしろかった。
 あまり詮索しない友人カップルがとてもいいですね。周が友人カップルに、真昼へのプレゼントを相談していたりして、そろそろ隠すの辛いと思うな……と思った矢先の友人バレでしたので、読者としてもすっきりした展開でした。

言葉選びの面白さ(印象に残った言葉)

 周の親友樹の恋人、千歳の言葉

「こんな近くで見たの初めてなんだけど、やっぱ天使様って言われるくらいに美人なんだよね。顔立ち整ってるしすごく肌白くて綺麗だし睫毛長いし髪さらっさらだし華奢なのに凹凸あるし」

 早口でまくしたてる様子がでていて、ヒロイン真昼に対する素直な賞賛だと思いました。

読後の感覚

 周と真昼の出会いから2ヶ月を描いた、じれじれのラブコメでした。

 ですが読後思い返してみると、最初と最後で、着実に二人の関係が進んでいるのがわかります。とても楽しい作品でした。

・物語の書き方的な視点での感想
 本作は14エピソードで1冊です。

 これをもし自分が書くとしたらどうするだろうと考えました。
 前半は生活力のない主人公に手料理や掃除をしてあげる様子を書いています。その部分は結構、男にとって理想の女性を描いている部分でもあります。

 だとすると、例えば一人暮らしの時に、日常のいろいろな面倒・うまくいかないことを洗い出して、こんな料理をしてくれる・こんな掃除をしてくれる人がいたらいいなという、理想の人を思い描く。
 そして、その理想の人に世話してもらう理由を作り出す(本作でいうと最初に真昼を助けた部分)。

 そうすることで、こういった恋愛小説を書き始められると思いました。恋愛の進め方はじれじれと、好きという言葉を出さないで好きを表現する……これは達人技ですが、もう付き合っちゃえと読者に言わせるような物語を書くことを心がけてみるといいかと存じます。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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