腰ボロの一人賛否|今週の創作トレンド(2026年09月27日週)
こんにちは。腰ボロSEです。
粗品さんの「一人賛否」インスパイア企画、今週の創作トレンドから10議題ピックしました。
各議題では、Xで観測された 二つの立場のネットの声 をそれぞれ3行サマリ+代表ツイート1件で並べます。
今週は「賛成 vs 反対」の綺麗な対立というよりも、同じ現象を別の角度から言い直しているだけの温度差が多かった週でした。ラベルもそれに合わせて「派閥A vs 派閥B」の形にしています。最後に私の結論を添えます。
- 1. 【議題1】プロットの"在処"は歴史のなかか、意識のなかか
- 2. 【議題2】創作用語の温度差|"使う側"と"初めて知る側"のあいだ
- 3. 【議題3】「本気で小説家になりたい」とは何か
- 4. 【議題4】「オタクは軍師になりたがる」ミーム——「実は誰もがそう」派と、「俺は前線/魔術師」自己申告派
- 5. 【議題5】AI二次創作の線引き|「有償頒布は禁止」で一致、では"私的利用"は?
- 6. 【議題6】『たのしいピクニック』論争の"深読み"合戦——擁護心理を読み解く派とお節介を茶化す派
- 7. 【議題7】『話題作』が減ったのは何のせいか——アルゴリズム原因派と業界力学原因派
- 8. 【議題8】『フリとオチ』理論の再現性——漫画で完成、小説でどう再現するか
- 9. 【議題9】Copilot依存の"症状"——使えない時の禁断症状と、書き方そのものの変化
- 10. 【議題10】AI作画漫画の"速度"と"魅力"——効率を測る派、乗り切れない派
- 11. あとがき
【議題1】プロットの"在処"は歴史のなかか、意識のなかか
三幕構成のような物語構造について、「昔から人間が自然に持っていた形式だ」と歴史に見出す声と、「自分では組み立てられず結末が見えなくなる」と意識で組み立てる必要を語る声が並んだ。両者は"構造が要る"という点では実は一致している。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の「構造は歴史のなかにある」派の声(サマリ)
• 三幕構成は誰かが発明したのではなく、人間が語り始めた昔からずっとあったという指摘
• 意識せずとも語りの蓄積の中に構造が自然に用意されているというトーン
• 書き手個人を超えた、集合的な語りの遺伝子への信頼
この三幕構成というものは、誰かが長い間思索を巡らした末に考案して、今日から三幕構成に従うようにと宣言したというものではない。人間が話を作って語り始めた昔から、ずっとあったのだ。
――『「感情」から書く脚本術』 https://t.co/90Cal4jt3Q
— @filmartsha 元ツイート
ネット上の「意識で組み立てないと崩れる」派の声(サマリ)
• プロットを立てずに書くと結末が自分でも分からなくなるという告白
• 自分の書き癖を「悪い癖」と自覚する冷静なトーン
• 構造を意識できないと物語が着地しない、という実感の共有
小説を書く時、全くプロットを立てずに書き進める悪い癖がある(だから結末がどうなるか書いてる本人も分からないことがある)
— @emwx1015 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両派とも「構造がないと物語は着地しない」という前提では実は一致していることでした。争点は構造の"在処"です。歴史の中にすでに埋め込まれていて書き手が意識せずとも自然に立ち上がると信じるのか、それとも自分の意識で組み立てないと物語が崩れると考えるのか。
前者には、語りの蓄積そのものへの深い信頼があります。後者には、自分の書き癖への冷静な観察があります。
こう並べると、対立ではなく同じ問題を"どこから見るか"の温度差です。三幕構成を守っていないつもりで守っていた——という現象と、プロットを立てないと迷子になる——という現象は、実は同じ構造の話をしています。
自分が「無意識派」か「意識派」か、まず自覚するところから始めるのがよさそうです。
【議題2】創作用語の温度差|"使う側"と"初めて知る側"のあいだ
「デウス・エクス・マキナ」のような創作用語について、日常的に技法として使いこなす側と、名前を初めて聞いて戸惑う側とのあいだで、界隈内の言葉の広がり方をめぐる温度差が観測されている。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の「創作用語を使いこなす」派の声(サマリ)
• デウス・エクス・マキナを、自分のスタンス表明として自然に使いこなす姿勢
• 界隈内では、専門用語が自己紹介やジャンル観の共有に機能しているというトーン
• 用語を通じて細かい好みを一言で伝えるオタク的な文化の共有
おはようございます。
絶対にNTR的展開を破壊するデウス・エクス・マキナこと、ときたんです。
この世の中に必要なのは、純愛甘々ハピエンマスミクものです。よろしくお願いします。
— @tokitarin_sub 元ツイート
ネット上の「用語を初めて知って戸惑う」派の声(サマリ)
• 専門用語を初めて聞いた、意味も分からない、という素直な戸惑いの声
• 「必殺技かなんか?」という語感の受け取りから、界隈外の視点が浮き彫りになる指摘
• 説明なしで飛び交う用語が、内輪の言葉として機能してしまう構造への静かな距離感
小説・創作界隈では有名らしい
「3点リーダー」「Show, don’t tell」「デウス・エクス・マキナ」
今日初めて聞いたけど、なんやねんこれw
特に、デウス・エクス・マキナ
必殺技かなんか?
— @natukisaratb 元ツイート
腰ボロの一人賛否
この二つは、実は「デウス・エクス・マキナの是非」で対立しているわけではありませんでした。片方は用語を使う側、もう片方は初めて出会った側。同じ用語をめぐって立っている場所が違うだけです。
使いこなす側にとって、用語は自分のスタンスを一言で表せる便利な省略記号です。初めて聞く側にとっては、それは意味不明な必殺技の名前に見える。どちらが正しい間違っているという話ではなく、界隈という場所の内側と外側の温度差がここに出ています。
デウス・エクス・マキナが禁忌かどうかは、実はこの二つのツイートからは判断できません。分かるのは、創作用語という道具が、界隈の内側では自己紹介、外側からは呪文に見えるという当たり前の非対称です。
書き手として気にすべきは、この非対称を自覚したうえで、初見の読者にも通じる言葉で作品自体を書けているか、というほうかもしれません。
【議題3】「本気で小説家になりたい」とは何か
小説家志望者の本気度を「文章で有名になりたい」か「小説自体を書きたい」かで線引きする主張に対し、創作意欲や動機の多様性をめぐって意見が割れている。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の賛成派の声(サマリ)
• 「小説家になりたい」という声は、投稿と拡散への積極的な行動として表れているという指摘
• 投稿内容の質より量や頻度を重視する姿勢への疑問というトーン
• 商業化を意識したとき、基礎的な読書量や文章力不足への嘆きが指摘されている
本気で小説家になりたい中3の男です。
カクヨムで小説投稿してるので
プロフィールのリンクやポストから。
小説垢はフォロバ100。
週ニ話ずつ投稿していきたいです。
応援お願いします。質問自由に
#カクヨム
#小説好きと繋がりたい
#RTした人の小説を読みに行く
#拡散希望RTお願い致します
— @syousetukakibo 元ツイート
ネット上の反対派の声(サマリ)
• 本気で小説を書きたい人と文章で目立ちたい人を区別する声
• 「血走った目」で取り組む姿勢が欠けているという指摘のトーン
• 作品を創るより「何かでお金をもらいたい」という動機への嘆き
たぶんね、ぜんぜん本を読まないのに「小説家になりたいな〜」って言ってる人は、小説家になりたいんじゃなくて「なんか文章で有名になりたいな〜」なんですよ。小説でもエッセイでも、なんかそのへんでお金もらいたいな〜ですよ。本当に小説家になりたい人はね、もっと目が血走ってるよ。もっと小説に
— @Rinko_Akiya 元ツイート
腰ボロの一人賛否
賛成派は「投稿の量や頻度を重視しているように見える」と言い、反対派は「目立ちたい動機が強い」と感じているようです。どちらも、作品を作るより「書くこと自体が目的化している」ように映るのかもしれません。
ただ「本気で書きたい人」と「目立ちたい人」を区別する声には、少し引っかかります。動機が混ざっていることは、むしろ自然なことではないでしょうか。
おそらく、商業的に通用するまで続ける道のりが長く、途中で「何のために書いているのか」が曖昧になる人が多いからだと思います。
本気で小説を書きたい人が、どこまで自分の動機に正直でいられるかは、結局その人次第だと感じました。
【議題4】「オタクは軍師になりたがる」ミーム——「実は誰もがそう」派と、「俺は前線/魔術師」自己申告派
元はニート番組の「出来れば軍師」というミームに対し、「オタクに限らずほとんどの人が"責任を持たず口を出す軍師"になりたがっているだけ」と普遍化する声と、「俺は前線斬り込み隊長」「俺は攻撃魔法をブチかます魔術師」と別のロールを冗談交じりに自己申告する声が並んだ。否定側も"自分の欲しい役割"を口にしてしまっているのがポイント。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の「実は誰もが軍師をやりたがる」派の声(サマリ)
• 元ネタは過去のテレビ番組で、ニート男性がスタッフに「出来れば軍師」と答えたのがミーム化した経緯を整理する視点
• 軍師志望は特殊な性質ではなく、「代表としての責任は持たないままあれこれに口を出したい」欲求として広く普遍化されるという指摘
• 「一部のオタクがそれを恥ずかしげもなく開陳しているだけ」という、少し引いた俯瞰のトーン
「軍師になりたがるオタク」を嘲笑する向きのツイートが先日からちょいちょい流れてくるけど、オタクに限らずほとんどの人は軍師(いわゆる"軍師"ではなく、代表としての責任は持たないままあれこれに口を出したり指示する人)になりたがっていて、一部のオタクがそれを恥ずかしげもなく開陳してるだけ
— @suwakow 元ツイート
ネット上の「いや俺は前線/魔術師タイプだ」派の声(サマリ)
• 「軍師じゃなくて前線に出て将の首を刈りたいタイプだ」という、ロールの自己申告
• 「軍師じゃなくて20D6で攻撃魔法をブチかます高レベル魔術師になりたがる」という、TRPG的な別軸ロールの提示
• ミーム自体を全否定するというより、“じゃあ俺のロールはこう"と乗っかって申告する冗談交じりのトーン
流れてきた言説によるとオタクは軍師になりたがるらしいが、俺様は前線に出て将の首を刈りたいタイプのオタクである。
— @dice3710 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、「いや俺は違う」と反論した側も、「じゃあ俺は前線斬り込み隊長/攻撃魔法魔術師」と自分の欲しい役割をきっちり申告してしまっていることでした。ミーム化された役割が"軍師"だっただけで、否定派も別のロール(前線/魔術師)を欲しがっている点はまったく同じです。
つまり、これは対立というより、「オタクは自分の欲しいロールを口にしたがる」という共通の習性を、否定派が身をもって証明してしまっている構図です。「実は誰もが軍師をやりたがる」派の指摘は、こう言い換えられます——軍師とは限らない。誰もが"自分の担いたい役"を語りたがる。
これはキャラ設計の視点で見ると面白いヒントです。「軍師」も「前線斬り込み」も「攻撃魔法魔術師」も、責任と快感の配分が違うロールモデルです。読者がどのロールに自己投影したいかで、応援したいキャラは変わります。
書き手として使えるのは、キャラを「どんな役割の"上手(うわて)"を担わせるか」で描き分ける、という視点です。指示役の快感、前線の快感、後方支援の快感、それぞれ別の読者層に刺さります。「軍師論争」自体が、その配分マップを一枚出してくれた——と読むと、SNSのミームも作劇資料になります。
【議題5】AI二次創作の線引き|「有償頒布は禁止」で一致、では"私的利用"は?
AI生成イラストの有償同人誌頒布は規約上NGで両派とも合意しているが、「私的利用(自キャラ・名刺・シール・コスプレ用画像)にAIを使うところまで反対するか」で解釈が割れている。
論点カテゴリ: AI技術
ネット上の「私的利用ならOK」派の声(サマリ)
• 有償頒布・商用は禁止だが、私的利用の範囲であればAI二次創作も問題ないという指摘
• 「印刷禁止・skeb禁止」まで含む規約全体を認識せず、AIだけを特別視する反AI論調への違和感
• 非営利・非商用の手製頒布はOK/スクショ流用やモデルぶっこ抜き・AI学習利用はNG、という線引きの明確化
これ要は同人誌の頒布どころか印刷も禁止だしskebとかで自キャラ描いてもらうことなんかも当然禁止なんだけど反AIはここを認識できない。
ちなみに私的利用の範囲ならAI使っての二次創作も問題ないので「自キャラの絵が欲しい人間はAIを使おう」ということになる。 https://t.co/OhXEYolSLBhttps://t.co/Qix2J59RdH
— @Lantern_pumpkin 元ツイート
ネット上の「AI利用は原則NG」派の声(サマリ)
• 規約に「AIは利用できません」と明記されており、同人誌頒布・商業利用は禁止という指摘
• 自キャラの名刺・シールなど私的用途でも、AIではなくskeb等のコミッションを使うべきというトーン
• 印刷会社を使わず手製・生成AI不使用・QRコード・無料頒布などの条件を積み上げてようやく許容という慎重な確認
同人誌の頒布は禁止です。自キャラの名刺やシールを作りたい場合のみskebなど各種コミッションが利用できます。AIは利用できません。明記されてます。 https://t.co/QWENlceQ1Khttps://t.co/EnLwm28WQ0
— @rascal_2d 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両派とも「AI作画同人誌の有償頒布は禁止」という点では実は一致していることでした。争点は一段深いところにあります。私的利用や自キャラ制作までAIを禁じるべきか、それとも「非営利・非商用ならAIも既存手法と同じ扱いでよい」のか、という線引きの厳密さです。
「私的利用ならOK」派の指摘には、規約全体を読まずAIだけを特別視する態度への静かな反発が滲みます。「原則NG」派の主張には、明文化された規約は明文化通りに守るべき、という職人的な律儀さが感じられます。
こう並べると、対立に見えていたものは実は同じ規約をどこまで拡大解釈するかの温度差で、有償頒布の是非そのものではなさそうです。
規約が細部の運用に追いつかないうちは、線引きに疲弊する人が続きそうだと感じました。
【議題6】『たのしいピクニック』論争の"深読み"合戦——擁護心理を読み解く派とお節介を茶化す派
「たのピク擁護男が守っているのは幼き頃に見た母の姿」というフレーズをめぐって、その心理分析にさらに乗って「母なるものへの反発」と読み解く派と、「見えすぎだろ」と茶化す派に分かれた。両派とも同じ"深読み"を扱っている。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の「擁護心理を深く読み解く」派の声(サマリ)
• 「擁護男が守っているのは幼き頃の母の姿」というフレーズに強く同意し、深化させる姿勢
• 対立する女性側の敵意も「母なるもの」への反発として一段深く読み解くトーン
• 個人の言動を家族像・母子関係の投影として構造化して見る視線
>たのピク擁護男が守ってるのは幼き頃に見た母の姿
これめちゃくちゃ腑に落ちる。そして「たのぴく女」嫌いな女が戦っているのは「母」なるもの。 https://t.co/2BTePYAtbr
— @anatatachi_ohno 元ツイート
ネット上の「お節介な深読みを茶化す」派の声(サマリ)
• 同じフレーズを引用しつつ、家族まで見通せるという分析の勢いを揶揄する姿勢
• 「画面の向こうの家族まで見える」と茶化して、深読み文化の距離感を測るトーン
• 心理分析の当否そのものより、そこまで踏み込む態度への距離を置く指摘
>たのピク擁護男が守ってるのは幼き頃に見た母の姿ですからね。男の愛は外敵を排除すること。
女とチン騎士って画面の向こう側の人間どころかその家族まで見えるってすごいな…… https://t.co/DPTIpI2VKBhttps://t.co/cQA27aHrtt
— @tensus14 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両派とも「擁護男が守っているのは幼き頃の母の姿」という同じフレーズを扱っていることでした。片方は乗っかって「なら反対側は"母なるもの"と戦っている」とさらに深く読み込み、もう片方は「画面の向こうの家族まで見えるとは大したものだ」と茶化して距離を取っています。
これは擁護派 vs 反対派ではなく、同じ深読みに乗る派 vs 深読みに乗り切れない派の温度差です。前者には、SNS上の言動を家庭環境や心理的原型に還元して解釈する快感があります。後者には、そこまで踏み込む態度への警戒と、少しの茶化しがあります。
創作者として学べるのは、「キャラの言動を心理的原型に還元する解釈」は面白いけれど、それを他人にやると急に不気味に見えるという距離感の話です。物語のなかで人物を掘り下げるときは有効な武器でも、現実の他人に振ると別の意味を持ちます。
【議題7】『話題作』が減ったのは何のせいか——アルゴリズム原因派と業界力学原因派
「みんなが知る話題作」が減った原因について、SNSのアルゴリズムに求める声と、業界内のクリエイターと経営者の力関係に求める声が並んだ。同じ現象を別レイヤーで説明する二本の仮説。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の「アルゴリズム原因」派の声(サマリ)
• タイムライン時代からアルゴリズム時代への構造変化に注目する視点
• 人間の認知ではなくおすすめ欄が拡散を握るという指摘
• 結果として"みんなが共有する話題作"が減ったという嘆き
この20年で変化したネットの「バズりの構造」をゲーム宣伝のプロに聞いてみた
・タイムライン時代:人間の認知が話題を作っていた
・アルゴリズム時代:表示も拡散もおすすめ欄が握るように
・その結果、「みんなが知っている話題作」は少なくなった
— @denfaminicogame 元ツイート
ネット上の「業界力学原因」派の声(サマリ)
• 経営者よりクリエイター側が強いという業界内の三すくみを指摘するトーン
• 「じゃんけんでクリエイターが勝つ」構造が話題作の生まれ方に影響しているという指摘
• 話題化を左右するのはアルゴリズムだけでなく現場の意思決定構造だという見方
いや〜、こういうのどこの業界でもありがち💦
>ゲームの場合、経営者であっても、クリエイターの言うことを聞かざるを得ない事態も発生します。「グー・チョキ・パー」の三すくみみたいなもので、じゃんけんをするとクリエイターさんが勝つ
— @sidodtv 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両派とも「話題作が生まれにくくなった」という認識自体はほぼ同じなことでした。争点はその原因をどこに置くかです。片方は外側の配信構造、もう片方は内側の意思決定構造。
アルゴリズム原因派は、配信レイヤーの変化を主犯と見ます。業界力学原因派は、企画・制作の現場で誰が最終判断を握るかを主犯と見ます。実際にはこの二つは同時に起きていて、「アルゴリズムに刺さらない企画をクリエイター主導で作り続ける」構造が現代の話題作不足の内実かもしれません。
同人・個人発の作品作りをするうえでも、この二層——届け方のレイヤーと、作り方の意思決定レイヤー——を意識的に分けて考えると、自分の作品がどこで詰まっているかは見えやすくなりそうです。
【議題8】『フリとオチ』理論の再現性——漫画で完成、小説でどう再現するか
「小さい報酬予感 = フリとオチ」という漫画発の理論について、作例を提示して有効性を主張する声と、「同じ効果を小説で出すにはどうすればいいか」と別ジャンルへの移植方法を問う声が並んだ。両者は理論の妥当性そのものは疑っていない。
論点カテゴリ: 創作論
ネット上の「漫画で完成、作例で示す」派の声(サマリ)
• 「読者に情報を与えたい時、読者に求められる形にする」という原則をコンパクトに提示するトーン
• 抽象的な報酬設計を具体的な作例で見せることの説得力への信頼
• 漫画というフォーマットの中でフリとオチの効果は既に確立しているという前提
小さい報酬予感の作例。
読者に情報を与えたい時、
読者に求められる形にする。
つまりフリとオチ。 https://t.co/w0tMGt4HsRhttps://t.co/b9TMRxEfSZ
— @yoshikadu2010 元ツイート
ネット上の「小説でどう再現するか悩む」派の声(サマリ)
• 漫画では視覚的に成立する「フリとオチ」を、小説でどう成立させるかを常々悩んでいるという声
• 「読みやすい小説」の背後にも報酬配分の理論が働いているはずだ、という推測のトーン
• ジャンル間で理論を翻訳する難しさに正面から向き合う姿勢
フリとオチって漫画だと視覚的に分かりやすいけど、それを小説で有効に使うためにはどうすればいいんだろうなと常々悩んでる
たぶん「読みやすい小説」の中には、この理論みたいに報酬が上手く配分されてるはずなんだけど
— @ddd_KOOL966 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両派とも「フリとオチ理論そのものは有効」だと信じている点は一致していることでした。争点は「どのメディアで、どう成立させるか」の翻訳問題です。
漫画側は、視覚とコマ割りの中でフリとオチが一枚絵として完成する強みを持ちます。小説側は、時間軸に沿って情報を配分し、読者の頭の中で映像を作らせる必要があります。同じ「小さい報酬」でも、視覚に埋め込むのか、リズムと文の呼吸に埋め込むのかで技法は変わります。
これは対立ではなく、理論の完成形(漫画)と、その理論を別メディアに翻訳するときのフロンティア(小説)が並んでいる状態と読むのがフェアそうです。小説側の「常々悩んでる」という声は、この理論が漫画で強い分だけ、小説に持ち込んだときの空白が大きく見える、という健全な問題意識です。
【議題9】Copilot依存の"症状"——使えない時の禁断症状と、書き方そのものの変化
AIライティングツール Copilot への依存について、「使えなくなると禁断症状が出る」という書き手と、「AIで書き分けているうちに従来の執筆力が落ちた」という書き手の声が並んだ。どちらも依存を自覚した"症状の自己観察"。
論点カテゴリ: AI技術
ネット上の「使えない時の禁断症状」派の声(サマリ)
• Copilotの緻密な文章出力の速度に慣れてしまい、使えないと「右腕をもぎとられた感覚」になるという告白
• チャット上限などで急に自力に戻される瞬間の落差の観察
• ヤフーニュースのインプ数など、外部の刺激で埋め合わせようとする自分への冷静な視線
だめだね、copilotのわずか2秒での緻密な文章出力に慣れてしまうと、いざ、それがチャット上限とかで使えぬと禁断症状というか、右腕をもぎとられた感覚となり、ヤフーニュースがすぐにインプ数100になるのと随時つくいいねが今夜最大の楽しみになる。数時間前までならばこうした雑記もcopilotにかけ
— @ganbarail 元ツイート
ネット上の「書き分けているうちに執筆力が変わった」派の声(サマリ)
• 生成AIで補完したら別ジャンルの筆力は上がったという指摘
• 一方で、従来のジャンル(カクヨム通常小説)での執筆力が落ちたという自覚
• AIとの分業が、書き手自身の得意分野の構成を書き換えているというトーン
生成AIで補完したので俺のエロが書けるようになったが、けっこう俺が腐ったのでカクヨムの通常小説の執筆力が落ちている。
— @1818rrr333 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両者とも「AIとの関係で自分の書き方が変わった」ことを冷静に自己観察している点は共通しているところでした。争点は"どんな症状として出ているか"の違いです。
前者は、AIが使えない瞬間の離脱症状として現れます。後者は、使い続けていることによる得意分野の配置換えとして現れます。
こう並べると、対立ではなく同じ「AI依存」を別の時間軸で見た二つの症例レポートです。片方は"外的アクセスが切れた瞬間"、もう片方は"書き分けを続けた末の書き手の変化"。書き手として自分の状態を測るなら、この二つの症状のどちらが今出ているかを見ると、AIとの距離のとり直し方も違ってきそうです。
【議題10】AI作画漫画の"速度"と"魅力"——効率を測る派、乗り切れない派
漫画作画をAIに任せる動きについて、実測して「AIに全部任せた方が3倍速い」と効率を提示する声と、「AI否定派ではないがAI作画漫画に食指が伸びにくい」と自分の感情の側を分析する声が並んだ。両者ともAIの活用自体は否定していない。
論点カテゴリ: AI技術
ネット上の「効率を実測して測る」派の声(サマリ)
• 漫画8ページの制作時間を実測し、AI主導と人力主導の差を数字で示す姿勢
• 「頭脳はAI、手足はまだ人間」と役割分担を仮組みするフレーミング
• 効率化の観点から見るなら、AI活用は現実的な選択肢だと落ち着いて提示するトーン
【まだ人間の方がはやい!?】
漫画作成はAIに全部任せたほうが速い。
そう思って、実際に時間を測りました。漫画8ページ。
AIに段取りから作画まで任せて、24分。
プロンプトを自分で手貼りして、8分。3倍の差でした。
頭脳はAI。
手足は、まだ人間です。 https://t.co/QS3NnFNhXz
— @carbo_twt 元ツイート
ネット上の「AI否定派ではないが乗り切れない」派の声(サマリ)
• 生成AI否定派ではないことを前置きしたうえで、AI作画漫画には食指が動かないという告白
• 単発の絵ではなく、長編で一貫したキャラ表現を保つ難度に触れる指摘
• 効率よりも、読者としての没入感や感情移入の側から自問するトーン
【Note】に【なぜ私の触手はAI作画っぽい漫画に対して伸びにくいのか?】についての考察をぼっち騙りしてみました♪
生成AI否定派ではない私がなぜかAI作画の漫画に興味が出にくい理由をいろいろ自問してみました!
#Note
#ぼっち騙り
https://t.co/LpY0kALClO https://t.co/aAFnVATVXk
— @mangaband001 元ツイート
腰ボロの一人賛否
面白いのは、両者ともAIを否定していないことでした。片方は制作時間を実測して効率の側から評価し、もう片方は自分の読者としての感情の側から「なぜ乗り切れないか」を分析しています。
前者は作り手のレイヤーでAIを見ています。後者は読み手のレイヤーでAIを見ています。効率が上がることと、読者の触手が伸びることは別の変数なので、この二つは対立していません。
創作者としては、この二つのレイヤーを分けて考えるのが健全そうです。「AI作画で3倍速く作れる」ことと、「その作品が読者に届くか」は別問題です。効率化を追いつつ、キャラクターの一貫性・没入感といった"乗ってもらえる"要件を別レイヤーで守れるか——ここが当面の設計課題になりそうです。
あとがき
創作界隈のトレンドをブログに閉じ込めておくことで、あとからこの週はこんな議論があったなと思い返せるように始めました。
今週やってみて気づいたのは、Xで賛否が割れているように見えても、よく見ると「同じ現象を別の角度から言い直しているだけ」の議題がかなり多かったことです。対立ではなく温度差として並べ直すと、議論の本当の中身——どこが本当に食い違っていて、どこは実は一致しているのか——が見えてきます。
一人賛否をやってみると、自分の中の『矛盾した本音』が整理できて面白いです。
来週も続けます。今週の議題で「結論が甘い」と感じた方は、ぜひブログ、Xでリプをください。


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