全振り小説とは?世界観と設定解説【主流人気ジャンル分析調査シリーズ】

2020年8月14日

 「小説家になろう」における現在の主流人気ジャンル分析調査シリーズと題して、「小説家になろう」サイト上で非常に人気を誇る「〇〇小説」と分類される小説ジャンルについてご紹介。

 第一弾は「全振り小説」をお届けします。

全振り小説とは

 「全振り小説」とは、「ゲームで引き当てたもしくは温存しておいた能力値などを自分の裁量で自由に振り当てられる」という「特殊スキル」を、「一点集中型で全部振り当てた」系主人公を特徴とする小説とでも言い換えましょうか。

 ゲームの世界で表現するのであれば、手に入れた能力値を、体力・魔力・反射神経・運と割り振ることができる100の値から、反射神経だけに注ぎ込んだのがオレ様だぜというような主人公を作りだした世界設定ですね。

全振り小説の世界観と特徴

 「ゲームの世界に仮定して得られる能力値」を「全て一点集中して振り当てた」という「全振り小説」のたとえからして、「小説家になろう」で見られる「全振り小説」の傾向を分析するに、「異世界転生ファンタジー」や「VRMMO」 にジャンル分けできるものが大多数であると見受けられます。

 「目に見える形」で「能力値」を計測できる世界観があり、「防御力」や「攻撃力」などといったスキルの内から「一点集中させて特化させたスキル」を主人公は会得しています。また、全ての「能力値」を「そのスキル」に特化させたため、「そのほかの能力値」については「ゼロ状態」とされているのも「全振り小説」の大きな特徴です。

 「攻撃力」だけを特化させたため、モンスターとの戦いでは「一撃必殺」で対応しないと、「防御力」や「体力値」などのスキルが皆無のため、スライムレベルのモンスターからでも致命傷となり得るダメージを負ってしまう……などの「弱点」を抱えているのも特徴です。

全振り小説のアイデア

 「全振り小説」と呼ばれるジャンルで、「書き手」として新しく物語を作りだすとしたら? あえて「逆」の路線を前面に押し出した主人公設定、キャラクター設定で描くのはどうかというのが、まず浮かびました。

 ほかのどのスキルや「能力値」が皆無に近くとも、この能力だけには並外れて特化しているという「特化した能力」を「売り」とするキャラクター設定ではなく、「ハズレ」の能力に特化してしまったキャラクター設定での開幕です。「ステータス」はむしろ「何もできないか弱さ」のような「美少女」を主人公に迎えて、「魔力」も「体力」も弱く、「そこそこ美少女」のヒロインが持っていたステータスは、「パワー(力)」。

 平穏な日々を愛する主人公は日々の暮らしと自分のイメージを全力で死守するため、筋肉大好き筋骨隆々と鍛え上げた屈強マッチョの男性を片手で持ち上げられる特殊スキルを、決して他者には悟られないように奔走する……。この基本設定に、ファンタジーの世界観も持ち込めそうですし、ドタバタのラブコメ要素を展開するのも面白いストーリーができあがっていくのではと感じられます。

 基本設定はそのままにして、「観察力」を特殊スキルとするヒーローと、「パワー(力)」を何が何でも誤魔化しとおそうとするヒロインの駆け引きや、ラブストーリーを描いて展開するのが一つ。

 ヒロインの隠し通す「パワー(力)」に何らかの隠し味が仕込まれていた展開に持ち込み、絶対に秘密を知られまいと奔走するヒロインとヒロインの力を必要として探し回る冒険者や王都の使いなどファンタジックを前面に押し出した物語展開に持ち込むのも一つの案としては面白いのではないかなと感じます。

 さて、あなたならどんな「全振り小説」をオリジナルで描かれますか?

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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